こんにちは!注文住宅業界歴6年、きのぴーです。
全館空調や床暖房は、冬場に大きな効果をもたらす空調設備です。
少し前の日本の住宅では、石油ストーブや蓄熱暖房機などの暖房設備が使われていました。
しかし、現在では家の性能が上がるなどの様々な要因により、使われる暖房設備も変化してきています。
寒がりの方や寒冷地に住んでいる方は、冬場にぽかぽかと暖かい快適なマイホームで暮らしたいという要望があると思います。
では、全館空調と全館床暖房を併用したら、暖かく快適な家になるのでしょうか。
今回は「全館空調と床暖房の併用はやりすぎなのか」を検討します。
また、様々な項目から2つの空調設備を比較しますので、どちらの空調が自分に合っているのか確認してみてください。
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全館空調と床暖房の併用はやりすぎ…?
結論から言うと…
全館空調と全館床暖房の併用はやりすぎです。
2つの空調を組み合わせれば更に暖かく快適な家になりそうですが、様々なデメリットもあります。
併用がやりすぎである3つの理由
①住宅の性能が上がっている
全館空調が一般住宅で採用される前は、床暖房+エアコン、エアコン+電気ストーブというような空調設備の併用が当たり前でした。
それは、当時の建物の気密や断熱のレベルが現在の住宅と比べてかなり劣っていたからです。
気密や断熱の性能が低いと、暖房器具で屋内を暖めてもサッシや家の隙間から熱が逃げてしまいます。
その為、いくつかの暖房器具を併用して熱が逃げる量を上回る量の熱を暖房器具でつくりだす必要がありました。
しかし、現代の住宅では気密性能や断熱性能が非常に高くなっていますので、暖気を作り出す設備を併用する必要はなくなっています。
全館空調と床暖房のどちらかを採用するだけで快適に過ごすことができます。
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②高熱費がかかる
単純に、全館空調と床暖房を併用することで光熱費は大幅に上がります。
全館空調を採用している家の電気代は月平均にすると1万円台と紹介しているハウスメーカーも多いですが、この金額は春や秋などの換気だけで過ごす時期を含まれています。
実際、冬場の電気代は月2万円を超えている場合が多いです。
そこへ床暖房も併用すると更に光熱費が加算されますので、冬場の光熱費はかなり負担が大きくなってしまいます。
その為、全館空調と床暖房の併用は必要ありません。
③初期費用がかかる
全館空調も全館床暖房も、数十万~数百万単位で初期費用がかかります。
また、建物の見えない部分に施工しますので、修理も大規模な工事になってしまうことが多いです。
さらに、将来新しい高性能の暖房設備が出てきたとしても気軽に交換できるわけではないので、空調設備の初期費用のかけすぎはあまりおすすめしません。
④全館空調の仕組みによっては効果が半減する
全館空調の仕組みによっては床下に暖房設備が入っていて、床面から暖気を送り出すタイプの全館空調があります。
セキスイハイムの快適エアリーは床下から暖めるタイプの全館空調です。
このタイプの全館空調ですと、暖気によって床の温度が上がります。
床暖房ほど暖まりませんが、冬場に裸足で歩くことができるくらいの温度にはなります。
そこで床暖房も併用して設置してしまうと、全館空調の効果を邪魔することになってしまいます。
それでは併用する意味がありませんし、床下に敷かれている床暖房本体の温度が通常より上昇しますので、故障しやすくなる可能性もあります。
全館空調のタイプによっては、床暖房との併用はおすすめしません。
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じゃあ全館空調と床暖房、どっちを採用すべきなの?
併用はおすすめしない理由はわかっていただけたと思います。
では、どちらの設備が優秀なのでしょうか。
全館空調と床暖房をあらゆる観点から比較してみた
床暖房は冬場だけ効果を発揮する空調設備ですので、今回は冬場のケースだけを考えて比較します。
床暖房の場合、夏場はエアコンなどの冷房設備が必須です。
また比較しやすいように、部分的な床暖房ではなく全館床暖房と全館空調を比較しています。
ただ、全館床暖房は施工してくれないハウスメーカーもありますので、検討している方は事前に相談してみてください。
一条工務店では全館床暖房が標準仕様です。
▼一条工務店の家の電気代はいくらくらいだろう?(間取り&見積もりも公開中)
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【一条工務店】全館床暖房は標準仕様なの?月々の電気代はいくら?
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①初期費用
両者ドロー
まず初めに全館空調の設置費用についてです。
各ハウスメーカーで違いはありますが100万~200万円くらいの価格帯が多いです。
全館空調が出たばかりの頃は200万円を超えるハウスメーカーがほとんどでしたが、最近では100万円程度の価格設定のハウスメーカーが多いです。
また、三菱地所ホームのように標準で全館空調を採用しているハウスメーカーもあります。
次に全館床暖房ですが、1坪当たり3~8万円程度が相場と言われています。
30坪で90万円~240万円です。家の大きさによって費用が変わってきます。
収納内や収納家具などを置く場所は設置する必要がないので、一概にいくらというのはお伝え出来ません。
一条工務店でも、全館床暖房は標準仕様ですので正確なコストを出すことは難しいです。
1坪当たりの費用で比較すると全館空調とそこまで大きく変わらないと思います。
しかし、全館床暖房の場合は夏場はエアコンを使いますので、エアコンの設置費まで考えると全館空調の方が初期費用は抑えられます。
今回は冬場のみを想定しての比較ですので、ドローという結果にしました。
②電気代
勝者 全館床暖房
冬場にかかる電気代を比較します。
空調を扱っているハウスメーカーのホームページのデータで比べてみましょう。
ハウスメーカーが公表している全館空調の電気代は、セキスイハイムの快適エアリーを参考にします。
ホームページ上に年間の冷暖房代の記載がありました。
暖房・冷房・換気をすべて合わせて年間で約6.9万円でした。
その内、冬場の電気代だけを考慮すると年間で3.5~4万円くらいです。
月平均5,000~6,000円です。
(参照: セキスイハイムHP)
次に、全館床暖房の電気代についてです。
まず、一条工務店のホームページに記載されている情報です。
10月末~4月末の約7ヶ月間でかかる床暖房のみの電気代は1.9万円です。
月平均2,700円くらいです。
( 参照:一条工務店HP)
ホームページのデータを見ると、全館床暖房の方が光熱費は安いという結果が出ました。
しかし、家の大きさや住む方の温度設定によって大きく変わってきますので注意です。
③快適性(温度)
勝者 全館床暖房
結論から言うと、どちらも快適な温度で過ごすことができます。
しかし、より快適に過ごせるのはどちらかと考えた時に、全館床暖房の方が優れていると感じましたので、全館床暖房の勝ちとしました。
理由はそれぞれの仕組みの違いです。
多くの全館空調は天井付近に暖気の吹き出し口が付いていて、そこから出る暖気を換気の力で家全体に広げています。
暖気は冷たい空気よりも上にいきますので足元が暖まりにくく、体全体も暖かいと感じにくいです。
中には吹き出し口の向きなどを調整できるハウスメーカーもあります。
しかし、風の流れによって温度管理をしていますので、どちらかというと全館空調は夏場の温度管理の方が向いています。
対して、床暖房は床下に敷かれている熱源から輻射熱と熱伝導によって暖める方法です。
簡単に言うと、床下に敷かれている床暖房本体が暖まり、それが空気ではなく遠赤外線の力によって直接モノや人に伝わっていく暖め方です。
輻射熱のイメージ
例えば、焼肉をイメージしてみてください。火が燃え上がっている中に肉を入れると、肉は両面だけ焦げて中は火が全然通りません。
逆に、燃え上がる火はないが炭火の網の上でじっくり焼いた肉は、表面は焦げ付かず中までしっかりと火が通ります。
これが輻射熱の効果です。
床暖房もこれと同じ仕組みで、床が暖かくなって足裏からじんわりと足に伝わりますので、体の芯から暖まることができるのです。
また、足元から暖まりますので暑さで頭がぼーっとするなどの、不快感もありません。
④快適性(空気環境)
勝者 全館空調
これは圧倒的に全館空調の勝ちです。
そもそも、全館空調とは温度と換気を混ぜ合わせた空調設備です。
全館空調を採用した家は花粉やPM2.5が排除された空気が屋内に入ってきますので、家の中の空気はきれいな状態です。
対して床暖房は、暖めるだけの設備ですので空気環境をきれいにする効果はありません。
全館空調と同じ空気環境を取り入れたいなら、床暖房と第1種換気を採用するといいでしょう。
⑤快適性(湿度)
勝者 全館床暖房
冬場は湿度が下がりますので、空気が乾燥します。
全館空調では風を室内全体に回して暖める方法ですので、エアコンの暖め方と似ています。
その為、全館空調では室内が乾燥します。各空間に加湿器を置く必要があります。
ハウスメーカーによっては加湿機能のある全館空調を開発していますが、まだ一般的には浸透していません。
床暖房ですと風が出ることがありませんので空気は乾燥せず、本来の湿度が保たれます。
しかし、部屋を加湿してくれるわけではありませんので、床暖房の場合も加湿器は設置した方がいいでしょう。
⑥メンテナンス頻度
勝者 全館床暖房
床暖房は自分でおこなうメンテナンスがほぼない!
ガス温水式床暖房では5~10年に1度、不凍液や温水の交換が必要です。不凍液の交換の場合は、業者に頼んで行ってもらうことが多いです。その為、自分達の負担となるのは業者への依頼の手間と交換費用です。水道水でも大丈夫なエリアであれば自分でも交換することができますので費用負担もほとんど変わりません。
次に全館空調ですが、こまめなフィルターの清掃が必要です。
全館空調搭載の家には、各箇所に給気口と排気口があります。
屋外の空気を取り入れる給気口には、虫などもたくさんついていますので虫嫌いの方にはかなりの負担になります。
また、室内の排気口には多くのホコリが溜まりますので、2週間に1回などの細かい頻度で清掃をする必要になります。
全館空調の方が圧倒的にメンテナンスをする箇所が多いので、全館床暖房の勝利です。
⑦耐用期間
両者 ドロー
床暖房の対応年数は電気式で30~50年、ガス温水式で30年前後と言われています。
ガス温水式では、ガスボイラーで温水を暖めていますので、ボイラーの故障による交換が必要となります。
ボイラーの耐用年数は10年くらいと言われていますので、10年に一度出費があると考えておくとよいでしょう。
対して全館空調についてです。
全館空調の空調機器はエアコンと同じような仕組みです。
家電と同じような耐用年数ですので、10~15年に1回大きな費用がかかります。
しかし、全館に張り巡らされているダクトは、交換する必要はありませんので、機械自体を交換すれば長い期間で使うことができます。
一般的には床暖房の方が耐用年数が長いと言われています。
しかし、床暖房の場合は故障した時に床をはがしてまで修理や交換をしないことが多いです。
全館空調ですと、機械室がしっかり設けられていますので、故障してもメンテナンスをして使い続ける可能性が高いです。
そのようなことから、両者ドローという結果としました。
⑧間取りの自由度
勝者 全館床暖房
全館空調では機械室が必要になったり、1階と2階でダクトをつないでいますのでパイプスペースを作る必要があります。
また、ダクトの配管や本体の位置によって、全館空調の効きが左右されることがありますので、間取りの制限がある可能性もあります。
対して、床暖房は床下に敷き詰めるだけ出すので、特別に空間を作る必要はありません。
ただし、床暖房が敷いてある空間の上に、重い家具などを置いてしまうと故障につながりやすくなります。
住んでから制限が厳しくなるのは全館床暖房です。
重い物を置く場所を設計時から相談しておけば問題ないでしょう。
比較結果を発表!
床暖房の勝ち(5勝1敗2分)
冬場の空調だけを考えると圧倒的に床暖房の勝利となりました。
床暖房は仕組みが冬場に向いていることや、コスト・メンテナンス面で負担が少ない為、評価が高くなりました。
全館空調・全館床暖房。あなたはどっち派?
全館空調と全館床暖房の併用は、現在の住宅には必要ありません。
しかし、それぞれに良さがあります。
自分のタイプに合った空調を選ぶことで、住んでから快適で健康な暮らしを送ることができます。
全館空調がおすすめのご家族
- 様々な年齢の方がいる
全館空調には空気環境をきれいにするメリットかあります。
家族の中に小さなお子様やお年寄りがいると、家にいる時間が長くなります。
全館空調が搭載されている家で生活していれば、花粉症やPM2.5などの被害を受けにくくなりますので、健康にいいです。
- 暑がり寒がりな人がいない
全館空調では部屋を極度に暖めたり冷やしたりすることに向いていない設備です。
その為、1年を通して快適な温度にはなりますが、万人に対応した温度にはできません。
その為、暑がりや寒がりの人がいないご家族にはおすすめです。
全館床暖房がおすすめのご家族
- 寒がり家族
寒がりの家族は床暖房をおすすめします。
お伝えした通り、床暖房は輻射熱によって空間を暖めますので、体の芯から暖めることができます。
その為、寒がりや足先や手先が冷えて辛いという方は、床暖房の方が悩みを解消しやすいです。
- 掃除が苦手
日々のメンテナンスが少ない床暖房は、掃除が苦手な方や共働きで中々掃除をする時間が取れない方におすすめです。
また、共働きのご夫婦だと家にいる時間が少ないですので、24時間稼働しない床暖房の方が経済的にもメリットがあります。
どちらのタイプが自分に合っているでしょうか。
どちらも初期費用が高い設備ですので、取り入れてから後悔するのではもったいないです。
マイホームで快適に冬を過ごす為にも、空調設備は慎重に検討してください。
暖房設備の効果を大きくするためには、住宅の気密性能と断熱性能がとても大切です。
気密性能や断熱性能が高い住宅を建てた上で、自分に合った空調設備を選んでいきましょう。
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