こんにちは!注文住宅業界歴6年、きのぴーです。
建物の断熱工法はいくつか種類があります。
その断熱工法の中で「付加断熱」というのをご存知でしょうか。
環境先進国である北欧・中欧では多く採用がされている付加断熱。
では、いったい付加断熱とはどんな効果があるのか、今回の記事はそんな疑問にお答えしていきます。
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カンタンに高性能住宅 付加断熱とはどんな工法?
付加断熱とは何?
付加断熱とは柱間に設置された断熱材のほかに、さらに外側に高性能断熱材を設置した断熱工法です。
熱損失が少なく熱橋の影響が解消され、断熱性能を高める特徴があります。
熱損失が少ないってどういうこと?
木造住宅の柱や梁、外壁を固定する胴縁などの木材は熱が伝わりやすい特性を持っています。
木材は断熱材より熱伝導率が高く、この木材に熱が伝わっていってしまう現象のことを熱橋、またはヒートブリッジと呼びます。
この熱橋により建物の柱や梁などの木材が建物内外に熱を伝えてしまう問題があるため。、性能を落としてしまっています。
そこで、この熱橋を抑え、解消できるのが付加断熱となります。
付加断熱の効果とは?
付加断熱は熱損失が少なく、断熱性能を高めることができます。
では、どれくらい効果があるかというと、充填断熱にある熱橋部の熱損失は、外壁全体に占める割合が在来工法で約17%、枠組壁工法で約23%です。
付加断熱で密度36Kのボード状グラスウール50mm厚を加えることで、その分の熱性能と約17%の熱橋が解決、2倍弱ほどの性能が上がります。
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付加断熱の種類
- 充填断熱+外張り
- 充填断熱+内張り
- 外張り+充填断熱+内張り
付加断熱は上記の種類があります。
この中で「充填断熱+外張り」が多く採用されています。
「充填断熱+内張り」は防湿シートを充填断熱と同じ場所に施工するので室内側に電気配線のスペースをつくることが可能です。
防湿シートを破損することが少なく、夏型結露の恐れも少ないですが、施工した分だけ内部スペースが狭くなる欠点があります。
付加断熱のメリット
断熱性能が高まる
付加断熱は前述したとおり、熱損失が少なく断熱性能を高めることができます。
付加断熱で注目できるのが熱橋の解消です。
100mmの断熱の室内壁の表面温度は室温より約1℃低いですが、50mmの付加断熱にすると約0.5℃しか低くならず体感温熱環境が良好になります。
いろいろな断熱材が使える
付加断熱は結露を起こさないようにするために、充填部分の断熱材との透湿抵抗に注意しなければいけません。
そのため透湿抵抗が相対的により低い素材を使用するのがセオリー。
施工がしやすいマット状のグラスウールやロックウールが一般的に使われる断熱材です。
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マット状繊維系断熱材は透湿抵抗が低いため、一般的に防湿層には透湿抵抗が高いポリスチレンシートなどの防湿気密シートが使用されます。
つまりポリスチレンシートより透湿抵抗が低い断熱材を選択することが重要です。
他にも発泡プラスチック系のポリスチレンフォームや硬質ウレタンフォームなどありますが、コストや防耐火の面などを考慮する必要があります。
このように付加断熱はいろいろな断熱材が適用でき、充填断熱の柔軟性を生かしながら、より高性能化を図ることができる合理的な工法です。
コストパフォーマンスに優れる
付加断熱はコストパフォーマンスに優れるメリットがあります。
費用面で見ると
高:外張り断熱
中:付加断熱
安:充填断熱
の順になります。
費用では外張り断熱よりも抑えることができ、さらに性能は充填断熱と外張り断熱の良いところを合わせていますから、断熱性能が高めやすくコストパフォーマンスに優れた工法となっています。
気密性が高い
付加断熱は気密性が高い特徴があります。
また、熱損失が少ない特徴があるため壁内結露が起きにくいと考えられています。
ただし、付加断熱は隙間をつくりにくい構造ですが、高い気密性や結露については施工精度で左右されると言っても良いでしょう。
充填断熱でも施工精度が高ければ、十分気密性を持たせることができます。
付加断熱のデメリット
費用が上がる
充填断熱に比べると断熱施工にかかる費用は上がります。
上記でお伝えしたように断熱工法の費用は
高:外張り断熱
中:付加断熱
安:充填断熱
の順です。
費用が上がってしまう点だけ見るとデメリットと言えますが、断熱性能を考慮してみると一概に悪いとは言い切れません。
費用と断熱性能を考慮してみると、費用対効果が高くコストパフォーマンスに優れている工法です。
ただし、付加する断熱材が多ければ多いほど費用が上がってしまうので気をつけましょう。
外壁材の種類に注意
付加断熱は設置するために支持材を設けますが、この支持材の熱橋をいかに少なくし、かつ外壁材と通気胴縁の支持力を十分に保持できるかが重要となってきます。
支える力がないと外壁材や断熱材がズレてきてしまうため、施工する断熱材に適したビス留めや専用金具を用いる必要があります。
付加断熱で採用する外壁材は、重量が軽ければ軽いほど適しています。
軽量な防火サイディングや鋼板、木板などが向いており、重量があるモルタルやタイルは適していません。
施工が悪いとさまざまな問題が起こる
付加断熱は熱損失が少なく断熱性能を高めることができるメリットがありますが、施工精度が低ければ付加断熱のメリットはほとんど台無しと言ってもいいでしょう。
従来の熱橋部が改善されても構造の外側に断熱材を付加することで新たな熱橋をつくってしまっている付加断熱もあります。
正しい施工が行われていない付加断熱は、内部結露や雨漏り、外壁のズレ、耐震性の劣化などさまざまな問題を引き起こしてしまいます。
付加断熱の費用
密度36Kのボード状グラスウール50mm厚を使用した付加断熱は、材工共に約¥1,350/㎡の費用が上がります。
40坪前後の住宅の場合は40万円の費用が上がり、充填断熱部分を入れると材量と工事手間の費用は約110万円となります。
密度36Kのボード状グラスウールは普及率が低いため費用は高めですが、高性能グラスウール16Kを付加断熱に使えば15万円/40坪ほど費用を抑えることができます。
高性能グラスウール16Kの100mm厚で付加断熱を施工した場合、80〜100万円/40坪ほどとなります。
ポリスチレンフォームなどの発泡プラスチック系の断熱材(高性能グラスウール16Kの100mm厚同等の性能)で付加断熱した場合の費用は150〜200万円/40坪ほどです。
環境先進国の北欧・中欧の動き
環境問題に敏感な北欧やスイスなどでは、外壁にグラスウールやロックウールの厚さ240〜400mm相当ほどの断熱性能が推奨されており、各種の付加断熱が実践されています。
一方、低層(3、4階建て)集合住宅は木造住宅の付加断熱や木断熱・構造パネルを採用しているものが多くなっています。
新築の中層集合住宅の構造はPC架構、断熱パネルがカーテンウォールとして設置されているものが多く見られます。
このようなやり方は内断熱や外張り断熱の概念とはまったく異なるもので、外張り断熱は階段室などの防火上の区画のコンクリート壁に見られる程度です。
既存の石造、レンガ造、RC造の建物では断熱改修は外張り断熱で行われています。
※構造パネルとは:断熱材・構造用面材のほかサッシ・内装下地・外装を含んだパネル
※断熱パネルとは:断熱材のほかサッシ・内装下地・外装を含んだパネル
まとめ
費用面で言うとちょうど真ん中あたりにある付加断熱。
しかし、充填断熱の熱損失を解消し、外断熱のいいところを取り入れた付加断熱は高い断熱性能が期待でき、コストパフォーマンスに優れている断熱工法です。
環境先進国である北欧・中欧では建物の省エネ化のために高断熱が推奨され付加断熱が普及しています。
断熱性・省エネ性・寒い地域に在住などの方には付加断熱がおすすめの工法とも言えますので、今回の記事で参考になりましたら嬉しく思います。