こんにちは!注文住宅業界歴6年、きのぴーです。
今回の記事は、リビングの床をダイニングよりも1段低くした「ローリビング」について。
おしゃれでくつろいだ雰囲気があるローリビングを住宅展示場などで見かけると「素敵!」とついテンションが上がってしまいますが、その勢いで自分の家にも取り入れてしまうのはちょっと考えたほうがいいかも。
この記事では建てる前に知っておきたい、ローリビングのメリット・デメリットをご紹介します。
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ローリビングとは?
ローリビングとはその名の通り、低い(ロー)リビング。
オープンなリビングダイニングで、リビング部分の床だけ下げたスタイルのことです。
ハウスメーカーによっても呼び名が異なり、ロースタイルリビング、サンクンリビング、ピットリビング、ダウンフロア、ダウンリビングなどともいわれます。
サンクンは「沈んだ」という意味、ピットは「穴、くぼ地」という意味です。
ダイニングとリビングの段差は通常18cm~36cmぐらい。段差が大きめの場合は、段差部分にステップを設けます。
ローリビングのメリット一覧
それではローリビングにどんなメリットがあるかをみてみましょう。
ローリビングのメリット5こ
- くつろいだ雰囲気になる
- 天井が高くなる
- 自然にゾーニングできる
- 段差部分に腰かけられる
- ソファの圧迫感が軽減される
順に解説していきます。
メリット①くつろいだ雰囲気になる
ローリビングの最大のメリットは、1段床を下げることでくつろいだ雰囲気や「おこもり感」が演出できることでしょう。
段差部分にソファの背をつけるように配置すれば、座ったときに囲まれたような安心感を感じ、視線が下がることでも落ち着く効果があります。
低い視線で落ち着く空間といえば和室がありますが、後ろに寄りかかれない床座は案外疲れるもの。
ローリビングならソファやベンチを置いたり、段差部分を背もたれがわりにしたりと、より楽な姿勢でリラックスできます。
メリット②天井が高くなる
床を下げた分、リビングの天井が高くなります。
座面が低いロータイプのソファや床に座るスタイルのリビングにすれば、さらに視線が下がって天井の高さが感じられるでしょう。
メリット③自然にゾーニングできる
床の高さを変えることで、リビングとダイニングを自然にゾーニングできます。
開放感を損なうことなく、ダイニングとリビングで異なった雰囲気を味わえます。
小さいお子さんをリビングで遊ばせる場合も、ローリビングなら自然にリビングのスペースだけで遊んでくれることが多く、LDK中におもちゃが散らかることを防げます。
メリット④段差部分に腰かけられる
ローリビングでは思い思いの姿勢でくつろぐことができます。
段差部分に腰かけたり、段差部分を背もたれがわりにして座ったり。
カジュアルなホームパーティーを開くときなども、ソファやイスをたくさん用意しなくてもいいので便利です。
メリット⑤ソファの圧迫感が軽減される
家具の中でも大きく場所をとるソファ。
1段低い場所に置くことで、ソファの大きさを感じにくくなります。
ソファを置かず、ローリビングの床にカーペットを敷きつめて床に座るスタイルのリビングにすれば、さらに広々と空間を使うことができます。
ローリビングのデメリット一覧
それではローリビングにはどんなデメリットがあるのでしょうか?
ローリビングのデメリットは大きく分けると、床に段差をつけることによる実用面でのマイナスと、家の床下に与える影響があります。
ローリビングのデメリット10こ
- 怪我のリスクが高い
- 掃除が大変
- 床下の高さが取れない
- 長期優良住宅に対応できない場合がある
- 床の断熱性に問題が起こりやすくなる
- リビングダイニングの有効面積が減る
- ダイニングとリビングの視線がずれる
- 模様がえが難しい
- 建築費用がかかる
- 対応できる建築会社が限られる
順に解説していきます。
デメリット①怪我のリスクが高い
30cmの段差でも落下すればケガをする危険がありますし、ステップの上り下りの際に転ぶ可能性もあります。特に小さなお子さんや高齢者がいる場合は要注意です。
階段は家の中でも事故の多い場所ですが、ローリンビングのような1~2段のステップは普通の階段より危険を意識しにくく、かえって事故がおこりやすくなる場合があります。
リビングやダイニングは過ごす時間も長い場所だけに、危険度も上がってしまいます。
デメリット②掃除が大変
段差の部分で掃除機を持ち上げて移動させなければならず、お掃除ロボットにお任せというわけにもいきません。
さらに段差のコーナー部分は掃除機が使いにくく、ゴミやホコリがたまりやすくなります。
デメリット③床下の高さが取れない
住宅の基礎の高さは通常30~40cm程度。
ローリビング部分の床下は高さがほとんど取れず、床下の換気や点検がしにくくなります。
地面との距離も近くなり、シロアリや湿気の影響も心配です。
かといってローリビングの床下の高さを確保できるように基礎を高くするのはかなり費用もかかり、高さ制限などで難しい場合も多いため現実的ではありません。
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デメリット④長期優良住宅に対応できない場合がある
税制や住宅ローンの優遇が受けられる長期優良住宅。
この長期優良住宅の認定基準のひとつである「劣化対策」では、木造の場合「床下に点検口を設ける」「床下空間の有効高さ330mmを確保する」という基準が定められています。
長い期間使用できる家を実現するために、傷みやすい家の床下に人がもぐって、くまなく点検できるような仕様が求められているのです。
ちなみに鉄骨造の場合は建物の躯体(骨組み)の防錆処理を強化するか、木造と同等の床下の基準を満たすかのどちらかです。
ローリビング部分の床下空間は十分な高さが取れないことが多く、長期優良住宅に対応できないことがあります。
デメリット⑤床の断熱性に問題がおこりやすくなる
ローリビングのように居室の床に段差がある場合は、段差の側面部分にも断熱材を入れ、断熱材が途切れないように施工する必要があります。
フラットな床に断熱材を入れる場合と比べ、おさまりも複雑になり、断熱性が十分でない場所ができてしまう「断熱欠損」などの問題がおこりやすくなります。
デメリット⑥リビングダイニングの有効面積が減る
段差がある分、実質的に使えるリビングダイニングの面積が減ってしまいます。
人が上り下りするステップ部分や段差部分はある程度空けておく必要があり、家具などを置くことはできません。
さらにローリビングの外壁に面する部分には基礎の立ち上がりが室内に出っ張ってくることが多いので、その分も有効スペースが減ることになります。
ローリビングにするなら、リビングダイニングの面積にある程度のゆとりが必要でしょう。
デメリット⑦ダイニングとリビングの視線がずれる
床がフラットなリビングダイニングでも、椅子に座るダイニングとソファに座るダイニングでは視線の高さに差があります。
ローリビングではさらにその差が広がり、ダイニングにいる家族とリビングにいる家族が会話をするときなどは違和感が大きくなります。
デメリット⑧模様替えがしにくい
段差に合わせてソファのレイアウトなどがほぼ決まってしまうため、リビングダイニングの模様替えはしにくくなります。
デメリット⑨建築費用がかかる
フラットな床よりも材料や手間が余分にかかるため、建築費用が割高になります。
デメリット⑩対応できる建築会社が限られる
おしゃれで居心地がよく、断熱性や耐久性にも配慮したローリビングを作るには、設計力や技術力が必要です。
ある程度、経験がある建築会社を選んだ方がいいでしょう。
ローリビングはデメリット多めなのでよく検討して
ローリビングのメリット・デメリットをご紹介しました。
家は10年、20年と日常生活を営む場所です。実用面を考えるとローリビングはあまりおすすめできません。
どうしてもという場合にはデザインだけでなく、安全面や断熱性、耐久性にも十分配慮した仕様になっているか、じっくり検討しましょう。