- 財形住宅貯蓄って何?メリット・デメリットが知りたい!
- どうすれば財形住宅貯蓄は利用できるの?

マイホームを建てるためにはそれなりの現金を準備する必要があります。
計画的に貯蓄ができている人はいつでも家づくりを始められますが、実際は中々貯蓄できていないという方も多いのではないでしょうか。
- マイホームを建てたいけど中々貯蓄が溜まらない!
- 貯蓄はしているけど子供の養育費分しかない‥。
- 普通口座だと何だかんだで使ってしまう。
そんな方におすすめなのが財形住宅貯蓄です。

簡単に言うと、財形住宅貯蓄はマイホーム購入に特化した貯金方法です。
通常の貯蓄とは違う様々なメリットがありますので、現金を計画的に貯めたい方はぜひこの記事を見てみてください!
財形住宅貯蓄とは
財形住宅貯蓄とは積立貯金の一種です。
会社に協力してもらって毎月の給料から一定額を貯蓄として天引きしてもらいます。
そして、住宅購入時に払い出して自己資金として使うことができます。
条件は以下の通りです。
- 満55歳未満
- 他に住宅財形契約をしていない
- 床面積が50m2以上の建物を建築する
- 勤労者自信が住む建物を建築する
特に難しい条件はありません。
ただし、会社が財形住宅貯蓄制度を適用していることが大前提です。
個人では使えない貯蓄方法ですので、自分の会社が対応しているか確認してみましょう。
財形住宅貯蓄のメリット
メリット①使ってしまう心配がない
財形住宅貯蓄は給料から自動的に天引きされるので、使ってしまう心配がありません。
口座に振り込まれて自分で貯蓄する場合は、何だかんだ使ってしまってあまり貯蓄できないことがありますよね。
計画的に貯蓄ができない方は、財形住宅貯蓄をすることで無駄な支出を抑えることにもつながります。

メリット②家づくりのスケジュールがくみやすい
財形住宅貯蓄では毎月の給与と年2回のボーナス時に天引きされる金額を設定することができます。
そのため、必要な貯蓄額を貯めるまでのスケジュールが立てやすいです。
例をいくつか見てみましょう。
500万円の貯蓄ができたら家づくりをしようと考えた場合
月5万円、1回のボーナスで10万円財形住宅貯蓄をすると、年間で80万円の貯蓄が可能です。
つまり、6年4ヵ月あれば目標の金額の500万円に達することができます。
その間に、土地探しやハウスメーカーの検討をゆっくり行ってもいいでしょう。
しかし、そんなにゆっくり家づくりを進められないという方もいますよね。
その様な方は、期間と目標額を定めてから天引きされる金額を決めましょう。
2年後に300万円貯めたい場合
以下のような割り振りで2年間で300万円貯めることができます。
- 月々9万円なら3年間で318万円
- 月々7万円、1回のボーナスで8万円なら3年間で300万円
- 月々5万円、1回のボーナスで20万円なら3年間で300万円
月々とボーナス時の天引き額を調整して、マイホーム建築までの貯蓄スケジュールを立てましょう。
メリット③元利の550万円までは利子等が非課税
財形住宅貯蓄は元利の550万円までは利子等が非課税です。

簡単に説明すると、550万円までは貯蓄していても利子に対する税金がかからないということです。
銀行にお金を預けて貯蓄をしている場合、貯蓄している額に対して利子がつきます。
0.01%などの微々たるものですが、貯蓄した額に対してお小遣い的な利子が追加されます。
一般的な定期預金や財形貯蓄では、貯蓄を引き出すときに利子に対して税金が課せられます。
一般財形貯蓄の場合は利子に対して20.315%の税率です。

一般財形貯蓄で年間100万円を貯めていた場合、金利が0.01%だったら年間の利子は100円です。
5年間財形貯蓄を行ったとすると500円の利子がつきます。
ここまでは、財形住宅貯蓄も同じです。
そして、貯まった500万円を引き出すときに、利子の500円に対して20.315%が課税されるのです。
つまり102円くらいが税金として徴収されるということです。
財形住宅貯蓄であれば、550万円までの貯蓄までの利子が非課税ですので、利息がついていても税金を徴収されることはありません。

利子の金利がそもそも低いので、非課税でなくてもあまり影響はないですよね。
ただし、金利が高いところや貯蓄額の多さによって、税額も増えますので一応メリットとして覚えておきましょう。
メリット④貯金口座へ移す手間がない
普通に貯蓄する場合、給与口座から貯蓄口座へ毎月移している方もいるのではないでしょうか。
毎月移すのは面倒ですし、中には手数料がかかる場合もありますよね。
財形住宅貯蓄なら天引き貯蓄なので、その様な煩わしさはありません。

メリット⑤財形持家転貸融資制度を受けられる

財形持家転貸融資制度とは住宅ローンの一種です。
財形住宅貯蓄をしている人に対して、特別に好条件で建築費を貸し出してくれます。
貸付額は財形貯蓄残高の10倍以内で最高4,000万円以内、建築費用の90%までという好条件です。
通常の住宅ローンと大きく違う点は、貸主は金融機関ではなく事業主という点です。

しかし、実際には金融機関から共済を通して事業主に資金調達されるので、企業がお金を負担するという訳ではありません。
融資を受けるためには条件があります。
事業者側も条件がありますが、借りる側の条件だけをお伝えします。
- 自分で住むための家を建てる
- 申込日の時点で50万円以上の財形貯蓄がある(財形住宅貯蓄だけでなく一般財形貯蓄なども合算して良い)
- 2年前から申込日までに財形貯蓄をしていた方、または現在もしている方
- 事業主から負担軽減措置を受けられる方
- 申込時に70歳未満の方、かつ完済時に80歳までの方
ある程度の期間財形貯蓄をしていて、50万円以上貯まっていれば問題なく利用できるでしょう。
負担軽減措置とは、事業主が勤労者に対して負担を減らすような条件の貸出をできるような措置を取ることです。
つまり、お得な条件で貸してくれるということですね。
事業主側の問題ですので、特に気にすることはありません。
メリット⑥転職しても引き継ぐことができる
財形住宅貯蓄は退職しても、2年以内に転職すればそのまま引き継ぐことができます。
ただし、転職先の企業が財形貯蓄を導入している場合です。
転職をしたら会社への申告や申請書を出すなどの手続きが必要なので忘れずに行いましょう。
また、同じ金融機関で財形住宅貯蓄をできず、別の金融機関へ切り替えなければならないケースもあります。
新しい会社の指示に従って手続きを進めてください。
メリット⑦会社によっては奨励金制度がある
会社によっては奨励金制度があります。
奨励金制度とは、会社から貯蓄額の数%分の奨励金が出る制度のことです。
1~5%で設定している企業が多いようですが金額は様々です。

奨励金制度がある場合は大変お得になりますので、必ず確認しましょう。
財形住宅貯蓄のデメリット
デメリット①会社が制度を導入していないとできない
大前提として勤めている会社が制度を導入していないと、財形住宅貯蓄を利用することはできません。
ある程度の規模の企業では導入していることも多いですが、中小企業などでは導入していないこともあります。
転職先の企業が導入していなくて、財形住宅貯蓄を継続できなかった方もいます。
事前にしっかり確認しておくようにしましょう。
デメリット②住宅建築以外でお金を引き出すと利子等に課税される
先ほど財形住宅貯蓄は550万円までなら利子が課税されないというメリットをお伝えしました。
しかし、それはあくまでも住宅の建築資金として引き出す場合です。
住宅建築費用以外の用途で引き出す場合、その月から5年間に遡って利子が課税されてしまいます。
貯蓄額が多い方や金利が高い場合は注意しましょう。
デメリット③5年以上積み立てないと住宅建築以外の理由で引き出せない
財形住宅貯蓄は基本的に5年以上の積み立てをするという契約です。
しかし、住宅の建築に関してはその条件を緩和して、建てたいタイミングで貯蓄を引き出せるようになっています。
対して、住宅建築以外の用途の場合は、通常のルール通り5年以上積み立てないと引き出すことができません。

住宅以外にも使うかもしれない場合は、財形住宅貯蓄は避けておいた方がいいでしょう。
ただし、例外として災害による被害や病気によっては、5年未満でも引き出せることもあります。
財形住宅貯蓄を利用するならば確認しておいてください。
デメリット④投資型商品がない
財形住宅貯蓄は投資型の商品がありません。
ただ積み立てをして、建築の時に貯まった貯金を使うだけです。

最近は投資型の貯蓄商品もたくさん出てきています。
もちろん損をすることもありますが、プラスになる可能性もあります。
自分に合った貯蓄方法を選んで、マイホーム資金を貯蓄しましょう。
デメリット⑤自営業の人は利用できない
財形貯蓄は企業が利用できる制度なので、自営業の人は活用することができません。
また、企業に属していても役員報酬のみを貰っている役員なども対象外となります。
企業に勤めている一般の勤労者が受けられる特典として理解しておいてください。
デメリット⑥預け替えができない
財形住宅貯蓄は預け替えができません。
預け替えとは、財形住宅貯蓄で貯蓄しているお金を他の金融機関に預けることです。
銀行によって金利や優遇が違うので、中には変更したいという方もいるでしょう。
一般財形貯蓄では3年以上貯蓄していれば預け替えが可能ですが、財形住宅貯蓄では預け替えは認められていません。
制度を利用する前に預ける金融機関をしっかりと精査しましょう。
財形住宅貯蓄を利用する手順
財形住宅貯蓄を利用するための手順をお伝えします。
こちらも事業者と勤労者で分かれますが、今回は勤労者の関係する手順のみをお伝えします。
手順①会社が財形住宅貯蓄を導入しているか確認する
まずは自分が財形住宅貯蓄を利用できるのかを会社に確認してください。
手順②会社から制度の説明を受ける
財形住宅貯蓄がどのような制度なのか、会社から説明を受けましょう。
現在給与振り込みを指定している金融機関で財形住宅貯蓄をする場合がほとんどです。
希望する金融機関があるのなら、給与の振込口座も変更しなければなりませんので早めに相談しておきましょう。
手順③貯蓄額を決める
家族で話し合って貯蓄額を決めてください。
財形住宅貯蓄は簡単に引き出せるものではないので、慎重に金額を検討する必要があります。
毎月貯蓄しても生活に支障がない額、かつ住宅購入までに目標額まで貯蓄できる額を考えましょう。
手順④書類の手続きをする
貯蓄額が決まったら書類の手続きを行いましょう。
会社が必要な書類を準備してくれますので、指示に従って記入しましょう。

基本的には財形住宅貯蓄を利用したいと相談すれば、会社主導で申し込みのための準備をしてくれます。それに従いながら手続きを進めましょう。
財形住宅貯蓄を利用して計画的なマイホーム貯金をしよう
財形住宅貯蓄は次のような方に向いています。
- 自分で貯金するのでは中々貯まらない
- 企業から奨励金を受けられるなどのメリットがある
- すぐに建築するのではなく数年後に建築する予定
財形住宅貯蓄は必ずやるべき貯蓄ではありません。
ただし、やれば確実に貯蓄ができる制度です。
上手に利用してしっかりと貯金を蓄え、理想的なマイホームを建てましょう。