こんにちは!
注文住宅業界歴6年、きのぴーです。
ハウスメーカーの営業マンから、「ZEH住宅にした方がいいですよ」と言われたことはありませんか?

数年前からZEHという言葉が登場し、最近では当たり前のように各ハウスメーカーがZEH基準の住宅を販売しています。
では、果たしてZEH住宅にした方が良いのでしょうか?
今回はZEH仕様のメリット・デメリットから、ZEH住宅の必要性について考えていきます。
ZEHとは?
そもそもZEHとはどのような住宅のことを指すのでしょうか。
ZEHはゼロ・エネルギー・ハウスの略で、その名の通りエネルギーの収支がゼロになる家のことを指します。
ZEHにするためには、次の3つの段階をクリアする必要があります。
- 家の性能を上げて必要なエネルギーを極力少なくする
断熱材やサッシ、玄関ドアなどを高グレードのものにして、断熱性・気密性の高い建物を建てる。
そうすることで、冷暖房器具などのエネルギー消費が減る。
- 家で使うエネルギー量を少なくする
高性能エアコンや高効率な給湯器、LED照明などを採用し、エネルギーを使う設備の中でも最低限の消費エネルギー量に抑える。
- エネルギーをつくる
生活する上でエネルギー消費をゼロにすることは不可能なので、太陽光発電システムなどを採用して、消費した分のエネルギーをつくって補う。
上記3つの基準をすべて満たして建てられた家が、ZEH住宅と呼ばれます。
どんなに省エネルギーの設備を使っても、エネルギーを作る設備がなければZEH住宅にはなりません。
政府は2018年7月の「第5次エネルギー基本計画」で、以下のように宣言しています。
- 2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上でZEHの実現
- 2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現
エネルギー消費を減らしエネルギー自給率を増やすことで、環境問題を改善することが狙いとされています。

ZEH仕様のメリット一覧
ZEH仕様にするメリット一覧
- 建物の断熱性能が高くなる
- 過ごしやすい建物になる
- 冷暖房費がかかりにくい
- 光熱費が抑えられる
- 停電時に電気が使える
- 補助金がもらえる場合がある
- 環境に優しい建物を建てることができる
ZEHのメリット①建物の断熱性能が高くなる
ZEH仕様にすることで、建物の断熱性能や気密性能が高くなります。
断熱・気密性能が高くなると次のような良いことがあります。
- 冷暖房器具を使うと部屋の中がすぐに暖まる、涼しくなる
- 外の気温の影響を受けにくい
- 結露を防ぐことができる
断熱性・気密性の優れたハウスメーカーでは、標準仕様でZEH対応の基準を満たしている愛車もあります。
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ZEHのメリット②過ごしやすい建物になる
ZEH仕様にすると過ごしやすい建物になります。
近年、室内の温度差によるヒートショックや熱中症などが多く発生しています。
しかし、ZEH仕様の高断熱・高気密な家は外気の影響を受けにくく、さらに高性能の冷暖房器具を使うことで、家中が快適な温度を保ちやすくなります。

ZEHのメリット③冷暖房費がかかりにくい
高い断熱性の家で高性能なエアコンを使うことは、快適性を上げるだけでなく、光熱費の削減にもつながります。
建物が熱を逃がしにくいため、少ないエネルギーでエアコンを稼働させるだけで室内が快適な温度になります。
ZEHのメリット④光熱費が抑えられる
ZEH仕様にするために太陽光発電システムをつける家庭がほとんどですので、エアコンなどの光熱費をまかなうことができます。
エネルギー収支をゼロにする分の太陽光をつけなければならないので、10kw以上を搭載する方が多いです。
すると、日中に使う電気はほぼ購入することなく生活できるはずです。
また、余剰電力の売電と夜間の電気購入を考えても、毎月の電気代は相殺されることがほとんどでしょう。

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ZEHのメリット⑤停電時に電気が使える
太陽光発電システムを搭載しているので、停電してしまっても発電しているときは電気を使うことができます。
オール電化の家では、停電してしまうとほとんどの設備が止まってしまいます。
しかし、太陽光発電システムがあれば、非常用の電気は確保することが可能です。
また、蓄電池と合わせて採用することで、夜に停電が起こっても昼間の発電で貯めた電気を使うことができます。
ZEHのメリット⑥補助金がもらえる場合がある
ZEH住宅には毎年補助金の予算が設定されています。
2020年度の補助金では、ZEHを3つのグレードに分けてそれぞれ支給されています。
ZEH仕様のグレードが高ければ高いほど、補助金の金額も高いです。
ただし、建築スケジュールが合わなかったり、予算が上限に達してしまうと補助金を受けることができません。
補助金を狙う方は、早めに計画を進めた方が良いでしょう。

ZEHのメリット⑦環境に優しい建物を建てることができる
ZEH仕様の住宅を建てることで環境に配慮することができます。
日本の電気供給は火力発電をメインとしており、エネルギー自給率は世界と比べてとても低いです。
ZEH住宅は家庭のエネルギー消費を減らし、多くの電気を太陽光発電で賄うため、エネルギー自給率が上がります。
その結果、ZEH住宅に住んでいるだけで環境問題に取り組むことができるのです。
ZEH仕様のデメリット一覧
ZEH仕様にするデメリット一覧
- 建物の金額が高くなる
- 太陽光発電システムの搭載量と売電価格によって損をすることがある
- 採用したい設備などを選べないことがある
- 窓の大きさや屋根の形状が制限されることがある
- ZEHのビルダー登録をしている会社でないと補助金申請ができない
ZEHのデメリット①建物の金額が高くなる
ハウスメーカーによって、建物の金額が大幅に増える可能性があります。
例えば、断熱材やサッシをはじめ、給湯器や照明まですべてグレードアップになると数百万円の費用がかかってしまいます。
標準仕様でZEH仕様に対応していれば、あとは必要な量の太陽光を搭載すればZEH住宅になります。
しかし、太陽光発電システムも大容量が必要です。

太陽光発電システムのキャンペーンやレンタル制度を使ってお得にZEH住宅にできる場合もありますので、興味のある方はハウスメーカーに相談してみましょう。
ZEHのデメリット②太陽光発電システムの搭載量と売電価格によって損をすることがある
太陽光発電システムの搭載量と売電価格によっては、初期費用の回収ができず損をしてしまう可能性があります。
売電価格は年々低下しており、今後は買取の見通しも定かではないと言われています。
営業マンから、次のようなことを言われても鵜呑みにしてはいけません。
- 太陽光をつければ、売電でお金が入るから得をする
→初期投資を回収し終わるまで得をすることはありません。
- 太陽光の売電収入をローン返済に回せる
→売電のシミュレーションの信憑性が高いのは、最初の10年間だけです。
その後の売電収入は大幅に下がる可能性がありますので、必ずシミュレーション通りに売電収入をローン返済に充てられるという確証はありません。
上記のような営業トークを真に受けず、本当に得かを冷静に見極めましょう。
ZEHのデメリット③採用したい設備などを選べないことがある
ZEH住宅にするために、設備が制限されることがあります。
例えば、LEDライトでない照明を使いたい場合です。

レトロなデザインの照明を選ぼうと思ったら白熱電球だったという場合、どんなに気に入っていても採用することができません。
ZEH仕様に対する優先度をしっかりと決めた上で、打合せに臨むといいでしょう。
ZEHのデメリット④窓の大きさや屋根の形状が制限されることがある
設備だけでなく、窓や屋根にも影響が出ることがあります。
まず窓に関してです。
窓は断熱性や気密性に大きく関係してきます。
大きすぎる窓だったり、窓の量が多すぎると断熱・気密のZEH基準に満たず、認定を受けられないことがあります。
大開口のある家を建てたい方にはあまり向いていません。
また、屋根は形状に制限が出てきます。
なぜなら太陽光発電システムをたくさん乗せなければならないからです。
片流れ屋根を希望している場合は問題ありません。
しかし、複雑な形状の切妻屋根や寄棟などの場合、規定の数値まで太陽光発電システムを搭載することができない可能性があります。
屋根の形にこだわりがある方は、先に設計士に伝えてZEH仕様にできそうか確認してください。
ZEHのデメリット⑤ZEHのビルダー登録をしている会社でないと補助金申請ができない
ZEHの補助金を狙っている方は、建築する会社が限られますので注意しましょう。
総合展示場に入っているようなハウスメーカーであれば、ビルダー登録をしている会社がほとんどだと思うので問題ありません。
しかし、地元の工務店などはビルダー登録をしていない可能性もあります。
その場合は、ZEH住宅は建てられても補助金の申請はできません。
さらに、ZEH仕様の住宅を建築できない場合もあります。
ZEH仕様の住宅を建てたいと思っている方は、まず初めにビルダー登録をしているかを住宅会社に確認しましょう。
で、結局ZEHにすべきなの?
結論からいうと、ZEHにすべきだと私は思います。
ただし、建築するハウスメーカーや建てる家のこだわりによります。
ZEHにすべき家庭とすべきでない家庭を紹介します。
☆ZEHにすべき家庭
- 環境問題に大きな関心がある
- 快適で健康な暮らしをしたい
☆ZEHにすべきでない家庭
- 外観デザインにこだわりたい(窓多め、屋根形状複雑な家)
- お得さが理由でZEH住宅にしたいと考えている
あなたはどちらのタイプでしょうか。
必ずどちらがいいということはありません。
自分の理想に合った選択をしましょう。
ZEHのメリット・デメリットまとめ
ZEH仕様の住宅をには様々なメリット・デメリットがありました。
光熱費が安くなるや太陽光発電システムを載せることで得をすると思い、ZEH住宅にしようとしている方は冷静になって考え直した方が良いかもしれません。
ZEH住宅にするために300万円の費用がかかったとしたら、月々の返済は1万円近く変わります。
ただし、ZEH住宅は後からリフォームして認定を受けることはできません。
新築住宅ならではの特権です。
ZEH住宅を建てると、一般的な住宅と比べて快適で健康的な生活を送れることは確かです。
自分にとってZEHの優先度を考えて、採用するか決めましょう。