こんにちは!
注文住宅業界歴6年、きのぴーです。
おしゃれで楽しいイメージのスキップフロア。
マイホームの間取りに取り入れてみようかな、という方も多いかもしれません。

でもスキップフロアには具体的にどんなメリットやデメリットがあるのか、考えたことがありますか?
この記事では、スキップフロアのメリット&デメリットを詳しく解説します!
スキップフロアとは
スキップフロアとは「建築物において、床面の一部に高さを変えた部分をつくる構成」のこと。
ひとつの部屋の中で床の高さを変える構成や、高さの違う空間を階段でつなぎながら少しずつ上の階に上がっていく構成をスキップフロアと呼びます。
具体的には「ダイニングとリビングの床に段差を設けてステップでつないだLDK」や、家全体の構成にスキップフロアを取り入れた「1階から1.5階(中2階)を通って2階にアクセスする間取り」などがあります。

スキップフロアでは、横方向だけではなく縦方向にも立体的に空間がつながっているのが特徴です。
高低差によってゆるやかに空間を区切り、間仕切りはあまり設けないオープンな間取りが一般的。
家族の気配を感じながら暮らしたい、そんなライフスタイルの方に向いた手法と言えるでしょう。
スキップフロアのメリット一覧
スキップフロアのメリットはひとことでいうと、「スペースを有効活用しながら、開放的で変化に富んだ空間がつくれる」こと。
具体的にスキップフロアにどんなメリットがあるかをみてみましょう。
スキップフロアのメリット一覧
- 敷地の高低差を活かせる
- ビルトインガレージを活かせる
- 収納スペースが多く取れる
- 風や光を採り入れやすい
- 狭小地でも開放感のある家が建てられる
- 天井の高さなどの空間に変化がつけられる
- 階段のある楽しい空間が手に入る
メリット①敷地の高低差を活かせる
スキップフロアにすると敷地の傾斜がうまく生かせる場合があります。
地下室をつくるほどの高低差ではない場合、敷地の高い部分に合わせて基礎の高さを設定すると無駄に基礎が高くなります。
スキップフロアの手法を用いて、敷地の勾配に合わせて1階の床の高さをいくつかに分けたり、中2階を設けたりすることで、無駄に基礎を高くすることなく敷地の形状を生かせます。
メリット②ビルトインガレージを活かせる
ビルトインガレージとスキップフロアを組み合わせれば、空間を無駄なく利用することができます。
ビルトインガレージ部分の床は地面の高さにほぼ等しくなり、天井の高さも居室に比べて低くおさえられることから、ガレージの上の床は他の部屋よりも下げることができます。
「ビルトインガレージ→1階→中2階(ビルトインガレージの上)→2階」のような構成はスペースに無駄がなく、中2階部分は床を下げた分、高い天井高さを確保することができます。

この中2階部分を開放感のあるリビングにしている実例も多くみられます。
メリット③収納スペースが多くとれる
収納室は普通の部屋ほどの天井高さは必要ありません。
スキップフロアの中2階などの下を収納に利用すれば、スペースが有効に活用できます。

さらにうれしいことに、スキップフロアの下に天井高さ1.4m以下の収納を設けても、収納を設けた階の床面積の1/2未満であれば原則として建築基準法上の床面積に算入されません。
容積率の制限などで十分な床面積が確保できない場合に有効です。
ちなみに建築基準法上の面積に含まれないといっても、面積が増えた分の工事費用はもちろんかかります。
また固定資産税上の床面積に算定されるかどうかはケースバイケースです。
リビングとダイニングの間に2~3段の階段をつける場合などは、階段部分を引き出し式の収納にすることもできます。

メリット④風や光を取り入れやすい
家全体の構成をスキップフロアにする場合は、風や光を取り入れやすくなります。
北側の1階の部屋に南側の中2階越しに光を採り入れるなど、立体的に風や光を取り入れることができます。
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メリット⑤狭小地でも開放感のある家が建てられる
スキップフロアは、もともと狭小地でよく使われる手法です。
立体的に空間がつながっているスキップフロアでは、ワンフロアが狭くても開放感がある空間をつくることができます。
また高低差によって空間を区切るので、間仕切りや廊下も少なく、階段も居住スペースの一部にできるので、実質的にも有効に使える面積が多くなります。

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メリット⑥視線の高さや天井の高さなど空間に変化がつけられる
高低差のある空間では、高いスペースから低いスペースを見渡すと視界がひらけて実際より空間が広く感じられます。
また床の高さを変えることで、天井の高さにも変化がつけられます。
床が低い部分を天井の高い開放的なリビング、床が高い部分を天井が低めの落ち着いたダイニングにするなど、変化に富んだ空間づくりができます。
メリット⑦階段のある楽しい空間が手に入る
普通の家では階段は廊下などに設けられていることが多く、実用的な役割しか果たしていませんが、スキップフロアでは階段が居住スペースの中に取り込まれています。
階段やステップのある空間はワクワクする楽しさがあり、プランによっては、ちょっと腰掛けて本を読んだり、お子さんが遊んだりするスペースとして活用することもできます。
スキップフロアのデメリット一覧
このように多くのメリットがあるキップフロアですが、もちろんデメリットもあります。
スキップフロアのデメリットは、「段差が増える」「設計が複雑になる」「開放的な空間のマイナス点」の3つに大別されます。
では具体的なデメリットを見てみましょう。
スキップフロアのデメリット一覧
- バリアフリーにならない
- 掃除や家事に手間がかかる
- 法的な判断が分かれる
- 対応できる設計者や施工会社が限られる
- 建築コストが高くなる
- 冷暖房にお金がかかる
- 防音性に劣る
デメリット①バリアフリーにならない
バリアフリーとは相反する空間になるので、ご家族に高齢者がいる場合は注意が必要です。
高齢者が階段を利用しなくても日常生活がおくれるように、高齢者の寝室とLDKや水回りはバリアフリーにすることが望ましいですが、この条件を満たしながらスキップフロアを導入するのはなかなか難しいといえます。

デメリット②掃除や家事に手間がかかる
床がフラットなら、床掃除はお掃除ロボットにお任せ!という手もありますが、段差があるスキップフロアではお掃除に手間がかかります。

特に面倒な階段部分の掃除も増えてしまいます。
また間取りによっては階段を上り下りしてキッチンから洗面所に行くなど、普通の家より家事に手間がかかる場合もあります。
デメリット③法的な判断が分かれる
スキップフロアのメリットでは「スキップフロアの下に天井高さ1.4m以下の収納を設けても、収納を設けた階の床面積の1/2未満であれば床面積に算入されない」をあげましたが、これはあくまでも原則。
スキップフロアの法的な扱いは自治体によって判断が異なる場合があります。
収納面積の算定だけでなく、スキップフロアの建物を「何階建て」とみなすかも、判断が分かれる部分。
3階建て住宅が4階建てと見なされ、建築基準法に適合しないと判断されてしまう可能性もあります。
デメリット④対応できる設計者や施工会社が限られる
本格的なスキップフロアの設計や施工には、ある程度の経験が必要です。
普通の住宅より空間が複雑で設計者のセンスや実力が問われますし、構造計算も普通の住宅より高度になります。
さらに建てる地域によって法的な判断が異なるため、建築確認申請をスムーズに通すためにも、過去の経験がものをいいます。
建築確認申請とは建築工事の前にその計画が建築基準法などに適合しているかどうかを役所の建築審査課や検査機関に確認してもらう手続き。
スキップフロアの経験の少ないところに依頼すると、せっかくの計画が認められず、大幅な変更を強いられたり、手続きに時間がかかったりすることもあります。

デメリット⑤建築コストが高くなる
階の高さが統一されている方が使う部材にも無駄がなく、手間もかからないのでローコストになります。
スキップフロアでは空間に変化がある分、材料に無駄が出やすく、工期も長くなることが多いので、建築コストは高めになるのが普通です。

デメリット⑥冷暖房にお金がかかる
スキップフロアのゆるやかにつながった空間は開放感がある反面、冷暖房コストがかかります。
また暖かい空気は上に上がり、冷たい空気は下に下がるため、高低差のある空間では室内の温度の不均衡もおこりやすくなります。
デメリット⑦防音性に劣る
LDKに段差を設ける程度のスキップフロアであれば問題ありませんが、家全体をスキップフロアで構成する場合は、空間が立体的につながっているため、音は伝わりやすくなります。
家族の気配を感じながら生活できるのはメリットではありますが、プライバシーは確保しにくいといえるでしょう。
デメリットも理解したうえで採用しないと後悔します
スキップフロアのメリット、デメリットをご紹介しました。
スキップフロアを前向きに検討することをおすすめしたいのは、以下のような場合です。
- スキップフロアにすることで、敷地の地形が生かせる
- オープンな間取りで家族の気配を感じながら暮らしたい
- ご家族に高齢者がいない
- 建築スケジュールや予算にゆとりがある
- 建築家・設計事務所に設計を依頼したい
ぜひ検討してみたい!と思ったら、まずは経験豊富な設計者や建築会社を選んで相談してみてくださいね。