こんにちは!注文住宅業界歴6年、きのぴーです。
この記事は知り合いの元銀行マンに監修してもらっています。
【監修者】元銀行マンのプロフィール
新卒から約8年間銀行で勤め、そこで住宅ローンを担当していました。
国家資格のFP2級所持。
ちなみに、家のコーディネートも大好きで、無印良品で家を統一しています!
住宅ローンを借りてマイホームを購入することが決まったら、何人でローンを組むのかを決めなければなりません。
1人で組む「単独債務」と、2人で組む「連帯債務」の2つがありますが、どういう基準で選べばよいかで悩んでしまう方は多いのではないでしょうか。
私は某銀行の住宅ローンの担当者として、数年前まで働いていました。
連帯債務は、単独債務と比べると、多く借り入れがしやすいことから、2人で借金返済!破綻に繋がりやすい!といった悪い印象があるのも事実です。
しかし、最近では、他の理由から連帯債務が好まれるようになっています。
なぜなら、連帯債務にすることで、単独債務にはないメリットがたくさんあるからです。
今回は、連帯債務について検討している方必見!
単独債務にはないメリットと、連帯債務にする上での注意点をお伝えします。
連帯債務のメリットその前に!債務のパターンについて
住宅ローンの基本は、購入物件に対して1人がローンを組む単独債務です。
一方、同じ物件を購入するために、2人でローンを組むことを連帯債務と言います。
連帯債務と混同しやすいものとして、連帯保証人がありますが、連帯保証人は債務者ではありません。
万が一債務者が返済できなかったときの「身代わり」となる人と区別しておきましょう。
さて、よく使われる連帯債務には、3つのパターンがあります。
1つ目は「ペアローン」や「家族ローン」と呼ばれるものです。
2人が別々に申し込み、それぞれが主債務者として契約するため、ローンを2つ組むと考えた方がわかりやすいかもしれません。
それぞれの借り入れ金額に大小があっても大丈夫ですが、返済期間を同じにする必要があります。
ちなみに、その後、繰上返済などでどちらかが短くなる分には問題はありません。
2つ目は「収入合算」として扱われているものです。
フラット35がこの代表例で、申込みも契約書も2人で1つになるのが特徴です。
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3つ目は「親子リレー」です。
親が高齢のため、借り入れ期間が短くなってしまう場合、子供の年齢をもとに借り入れ期間を設定することができます。
2人で一緒に返済するのではなく、まずは親が先に債務者となり、親の死後に子が債務者となるのが特徴です。
2人分の年収を合算できるので、親または子だけでは、年収が足りない場合に役立ちます。
次に、連帯債務にしたら、それぞれが持ち分を持つ必要があります。
その持ち分は、どちらかが多すぎたり、少なすぎてしまうと贈与とみなされてしまうため、出資割合に応じて決めることが大切です。
例えば、3500万円の物件を購入する場合、債務者Aが2500万円、債務者Bが1000万円を借り入れた場合、持ち分はAが5/7、Bが2/7が妥当です。
親子リレーは例外で、最初は親の単独名義となり、親の死後に子供が相続します。
持ち分については、適当に決めてしまうと、贈与とみなされてしまうので、税務署や税理士に確認してから判断するようにしましょう。
連帯債務の6つのメリットについて
さて、連帯債務でローンを組む場合、債務者となる2人の関係が、2親等までと決められていることがほとんどです。
夫婦や親子、兄弟、祖父母と孫がこれに当たります。
お互いに年収があり、2人とも審査に合格することが条件ですが、クリアできれば、連帯債務にすることで、単独債務にはないメリットがたくさんあります!
ここでは、そのメリットを6つ紹介したいと思います。
なお、年収が2人分になるので、単純にたくさん借りられる!というのは周知のことだと思うので、ここでは割愛します。
メリットの1つ目は、審査が通りやすくなることです。
1人でも審査に通りそうな内容であったとしても、審査は出してみないと結果はわからないもの。
1回の審査で確実に合格することにこだわるのであれば、連帯債務で出した方が合格率は高くなります。
欲しい物件を確実に手に入れるための秘訣と言えます。
メリットの2つ目は、借り入れできる金額が増えることです。
先程とは逆に、1人では審査を受けるには不利な要素が多い場合、減額応諾と言って、希望金額が借りられないことがあります。
若い方だと、年収はあるように見えても、勤続年数が短かったり、年配の方だと、退職までの期間が短いことがこれに当たります。
連帯債務にすることで、個人の属性における欠点を補完し、希望金額に届く可能性がぐっと上がります。
メリットの3つ目は、どちらか一方の独断で不動産を処分できなくなることです。
考えたくないかもしれませんが、マイホーム購入後によくあるトラブルが離婚です。
その時、夫婦であっても同居しているだけでは、住み続けたくても所有権がないという意味で、立場が弱くなってしまいます。
購入当初に貯金があり、出資した分の所有権があれば別ですが、貯金がない場合は、連帯債務にすることで、それぞれが持ち分を持つことができます。
夫婦それぞれが不動産に対する所有権があれば、物件をどうするか、お互いの意見が合致しない限り、物件の処分はできないため、平等な立場で住むことができるのです。
メリットの4つ目は、住宅ローン控除を2人で受けられることです。
住宅ローン控除とは、本来納めるべき住民税と所得税から、一般的には年末残高の1%分の金額が控除分として戻ってくる制度です。
住宅購入後の2月〜3月に確定申告をし、税務署で受けられることが確定したら、10年間受けることができます。
債務者であることが条件のため、連帯債務でローンを組めば、2人とも住宅ローン控除を受けることができます。
これによって、単独債務では、控除額が住民税と所得税の合計金額より多くなり、超えた分が無駄になってしまう場合でも、連帯債務では、対象となる住民税と所得税が2人分に増える分、控除枠いっぱいまで受けることができます。
手元に戻るお金を増やすことができるのが最大のメリットです。
メリットの5つ目は、親子で連帯債務にした場合、相続がスムーズになったり、節税になることです。
親子での連帯債務は、親の死後、子が親の持ち分を相続することがほぼ決まっているため、相続時の手間が省けます。
融資を受けている居住用の不動産は評価額が低くなるため、相続税が少なく済むのもメリットです。
さらに、親子リレーの場合は、親は生存中から、子に将来住むための家の資金を実質払っていても贈与税が課されません。
経験上、節税対策として、親子の家の購入には、あえて親子での連帯債務を選ぶ方は多いです。
メリットの6つ目は「収入合算」タイプの連帯債務であれば、諸費用がほぼ単独債務と同じくらいで連帯債務にできることです。
ペアローンタイプの連帯債務では、それぞれが別々のローンを組むため、諸費用も2倍かかることがデメリットです。
しかし、「収入合算」タイプの連帯債務では、ローンは1本として取り扱われます。
団体信用生命保険が2人分かかるくらいで、その他、手数料など余計な費用がかかりません。
管理もシンプルです。
連帯債務のメリットだけでなく、注意点についても抑えておきましょう
さて、ここまで連帯債務にするメリットについて述べてきましたが、気をつけなければならないこともあります。
まず、夫婦で連帯債務にする場合は、2人で働いているから今は大丈夫という過信から、その気はなくても、ついつい借り過ぎてしまう傾向にあります。
2人で組むから多く借りれる!と財布の紐が緩くならないよう自分でセーブする力が試されます。
一家での借金は少なく、背負う人も少ない方がよいという意味では、単独債務でローンを組むことの方が適しています。
それに習って、連帯債務にしたとしても、今の2人の年収を基準にするのではなく、片方の年収のみしかないものとして考えることが大切です。
現役で働いている夫婦は、正社員で年収がしっかりある場合が多いため、今は大丈夫でもそれがずっと続くとは限りません。
子供を持つ予定であれば、女性には妊娠出産で一時的に収入が落ちてしまう時期があります。
ずっと2人だけで生活する予定でも、どちらかの勤め先や健康に問題が起きて、収入が減ってしまうことがあるかもしれません。
まずは、どちらが転けても生活が回ることを前提に、借り入れ金額をもっていくことがコツと言えます。
それでも不安が残る場合は、この機会にFPに相談してみるのも手です。
教育資金や老後の費用についてもアドバイスを受けることができるでしょう。
▼FP以外にも相談先はいくつかありますよ!
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住宅ローンの相談はどこにすればいいの?4つの相談先と特徴について
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また、夫婦のどちらかが転職や異動が多く、単身赴任をして、住民票を購入物件から移してしまうと、その方はローン控除を受けられなくなってしまいます。
将来その物件から職場に通えなくなる可能性が高い場合は、連帯債務は向かないかもしれません。
次に、親子で連帯債務にする場合は、借り過ぎないこと以外に、子の将来に制限ができてしまうことを理解しておかなければなりません。
例えば、子が結婚や転勤など実家から出ていく事情ができたとき、親子が居住することが前提である親子ローンは個々の事情を考慮していません。
そのため、子としては、既存ローンを支払いつつ新たなローンを組むか、売却してから新たなローンを組むかを選ぶことになります。
前者の場合は、既存のローンが邪魔となり、思い通りに審査が通らないかもしれません。
通ったとしてもダブルでの支払いは経済的に負担です。
後者の場合は、売却まで時間がかかったり、無事売却できたとしても残債が残ってしまうと、貯金を削るか、残債を埋めるローンが組めるかといった問題が出てきます。
親子での連帯債務は、家業があり、代々ずっとその土地に住む家族だったり、二世帯住宅を建てるなど、定住する予定が決まっている方が向いています。
まとめ
連帯債務には、たくさんのメリットがあります。
住宅ローンの合格率を上げ、欲しい物件を確実に抑えるのに最適です。
夫婦それぞれが連帯債務で組めば、自己資金がなくても所有権を持てるので、今の時代にあったマイホーム購入ができます。
親子で住む物件の購入をする際には、親子で協力ができる良い手段となるでしょう。
税金の戻りが多くなったり、または払う税金を減らす対策にもなるため、税金面ではダブルで得することも!
このようなメリットが手に入るなら、手続きは少し面倒であっても、連帯債務にする意味はあるでしょう。
しかし、連帯債務というスタイルが公に広まったのは、ここ10年の話です。
まだまだ、はじめから連帯債務にする方は少なく、住宅ローンに関わる全ての方が知識や経験が豊富とも限りません。
取り扱いに慣れている借り入れ先かどうか、よく確認する必要があります。
最後に、連帯債務にした場合は、ペアとなる相手との関係は良いに越したことはありません。
連帯債務でローンを組む際には、お互いが連帯保証人になることがほとんどです。
どちらかが返済を怠ってしまうと、もう一方に迷惑かけるをかけてしまうことがあります。
うっかりミスであったとしても、トラブルの原因になりかねません。
住宅ローンは最長35年と続きます。
そうしたときのストレスを減らす意味でも、よいペア探しを心掛けるとよいでしょう。