こんにちは、きのぴーです。
そろそろマイホームがほしいけど、頭金が全然貯まらない。
そんな時、ふと頭をよぎるのは不動産のチラシで見かけた「頭金0円でも家は建てられる」の文字…。
でも「頭金0円」にはさまざまなリスクがあるのです!
人生最大の買い物に焦りは禁物。
この記事では、頭金0円の住宅ローンにどんなリスクがあるのかをご紹介します。
本当に頭金0円でも家が建てられるのか?
そもそも、本当に頭金なしでも注文住宅は建てられるのでしょうか?
以前は住宅ローンで借り入れが可能なのは、住宅購入代金の8割までというのが普通でした。
2割の頭金に、住宅購入代金以外に必要になる「諸費用」(*)を合わせると、住宅購入代金の3割に相当する金額を貯める必要があったのです。
土地代と新築費用の合計が4,000万円の家を建てるなら1,200万円。かなりの金額ですよね。
*諸費用とは
家を建てる時に、住宅購入代金以外に必要になる印紙税、登記費用、不動産仲介料、住宅ローン関連費用などの費用のこと。
戸建の注文住宅なら、物件価格の1割ぐらいが目安。
しかし現在は、フラット35も含めて、住宅購入代金が全額借り入れ可能な住宅ローンが主流です。
さらに金融機関によっては、住宅ローン利用者向けの「諸費用ローン」が用意され、諸費用すらローンでまかなうことが可能になっています。
超低金利時代といわれる今、貯まるのを待つより今のうちにローンを組んだ方がいいのでは?という考え方もあり、頭金0円で家を建てる人が増えています。
こんなにある頭金0円のリスク
「それなら我が家も頭金0円でマイホームを建てよう!」と考えるのはちょっと待ってください。
頭金0円にはさまざまなリスクがあります。
①住宅ローンの破綻リスクが大きくなる
頭金が貯められないということは、家計のコントロールができていないか、家計にそれだけ余裕がないかのどちらかでしょう。
もともと貯蓄体質ではなかった家庭は、住宅ローンの返済をはじめてからも貯金ができないケースが多いと予想されます。
住宅ローンを組んだ後、家族の病気や転職など、不意の出費や収入減があったとき、貯蓄がない家庭では、すぐにローンの返済が滞ります。
その状態が長引いて、どうしても返済できない場合は、せっかく建てたマイホームを手放すことにもなるのです。
実際に、頭金が1割以下だった場合は、それ以上の頭金を用意していた場合と比べると住宅ローンの破綻率が高くなるといわれています。
②住宅ローンの返済金額が大きくなる
頭金0円なら、当然のことながら住宅ローンの借入金額は大きくなります。
さらに頭金が一定の割合以下だと、金利が少し高くなる住宅ローンも多いので、金利も多く支払うことになります。
頭金がどれくらい月々の返済額と総返済額に影響を与えるかを、フラット35のシミュレーションを使って検証してみましょう。
フラット35では、融資率(建設費と土地購入価格の合計額に対する、借入金額の占める割合)が9割を超える場合、つまり頭金が1割以下の場合は金利が0.44%高くなります。
頭金が住宅ローンに与える影響をシュミレーションしてみよう!
【フラット35金利】借入期間20年以上35年以下
融資率9割以下(頭金1割超):年1.17%
融資率9割超(頭金1割未満):年1.61%
*フラット35金利情報参照。2019年8月現在の最も多い金利。
https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/kinri/index.php/rates/top
借入期間35年、建設費と土地購入価格の合計は4,000万円のケースで検証します。
*フラット35 ローンシミュレーション
https://www.flat35.com/simulation/simu_01.html
▼頭金0円の場合
借入金額:4,000円
適用金利:16.1%
月々返済額:12.5万円
総返済額:5,235万円
▼頭金2割(800万円)の場合
借入金額:3,200万円
適用金利:1.17%
月々返済額:9.3万円
総返済額:3,902万円
プチまとめ
頭金0円の場合は支払い総額5,235円なのに対して、頭金2割の場合は頭金800万円+総返済額3,902万円=支払総額4,702万円になります。
同じ家を建てても、その代価として支払う金額は、頭金0円の方が500万円以上多くなるのです。
また、毎月の支払いも3.2万円多くなります。いくら低金利といえども住宅ローンは借金です。
なるべく借入金額を抑える方がいいのです。
③家の売却時のリスクが大きくなる
一生住むつもりで家を建てても、長い人生何がおきるかわかりません。
住み替えなどのために、家を売却する場合のリスクも考えておきましょう。
住宅ローンが残っている家を売却する場合、売却金額が住宅ローン残高を上回れば問題はありません。
しかし、売却金額が住宅ローン残高を下回る「担保割れ」の場合は、差額分を預貯金などで払わないと家を売却することはできません。
買い替えの場合は、元の家の残債と新しい家の購入資金を一緒に融資してもらえる「買い替え(住み替え)ローン」が利用できる場合もありますが、一般的にローン審査は厳しくなります。
頭金が0円の場合、この担保割れになる可能性が非常に大きくなります。
日本の住宅市場では、いまだに新築志向が根強く、中古住宅は価格が下がりやすい傾向です。
新築住宅に入居した時点で、その価値は2割下落するともいわれます。
頭金0円では、家を手に入れた時点で担保割れになってしまいます。
また万が一住宅ローンが返済できなくなって、家を任意売却や競売によって処分をする場合でも、家の売却価格よりローン残高が大きければ、その差額は借金として残ります。
この残債が払えない場合、最悪自己破産という事態にもなるのです。
頭金0円だと、住宅ローンの破綻リスクが大きい上に、破綻した時も家を処分しただけではチャラにならない可能性が高くなると、しっかり認識しておきましょう。
④住宅のローン審査や条件が厳しくなる
頭金0円で家を建てようと思っても、そもそも審査に通らないケースもあります。
やはり頭金0円は家計に余裕がないとみなされ、ローン審査が厳しくなる可能性があるからです。
また、住宅ローンの重要な審査基準に「返済比率」があります。
※返済比率(%)=年間合計返済額(住宅ローンを含めた全てのローンの返済額)÷税込年収×100
フラット35では年収400万円未満なら30%まで、年収400万円以上は35%までと返済比率の上限が決められています。
フラット35以外の多くの住宅ローンでも、30~35%程度が基準になっています。
返済比率が高くなる、つまり収入に対して借金返済の割合が大きくなりすぎると、それだけ破綻の可能性が高くなるので上限が決められているのです。
ちなみに、一般的に無理のない返済比率は20~25%程度ともいわれます。
シミュレーションした通り、頭金0円だと月々の支払い金額が大きくなります。
月々の返済額が大きくなるということは、その分融資条件として高い年収が求められるということです。
同じ年収で、同じ価格の家を手に入れようとしても、頭金がない場合は返済比率オーバーでローン審査が通らないという可能性もあります。
頭金を貯めることで、利用できる住宅ローンや建てられる家の選択肢が広がるのです。
このように頭金0円にはたくさんのリスクがあります。
頭金が貯まるのを待っていたら金利が上がってしまうと心配する人もいますが、金利の動向は誰も正確には予想できません。
頭金を貯めながら、金利の動向をチェックしてシミュレーションを行い、建て時を探るのが堅実な方法といえるでしょう。
貯めた頭金は全て住宅購入につぎ込むべき?
また、頭金は多いに越したことはないのですが、貯まった手持ち資金を全て頭金にしてしまうのも危険があります。
病気や失業など不測の事態に備えて、最低限の現金は手元に残しておきたいものです。
それぞれの家庭によって状況が異なりますが、いざという時に必要な現金のおおよその目安としては生活費の6ヶ月分ぐらいといわれます。
目安を参考に、手元に残すお金と頭金のベストなバランスを検討しましょう。
親からの援助を受けるという選択肢もある
それでは頭金はどうやって貯めたらいいのでしょう?
残念ながら近道はなく、住宅購入価格の2~3割を目標にしてコツコツと地道に貯めるしかありません。
個人向け国債や投信積立など、比較的リスクの少ない投資を検討するもいいでしょう。
また勤めている会社で財形制度があるなら、税制の優遇措置がある財形住宅貯蓄の利用もおすすめです。
貯蓄残高550万円までは利子が非課税になります。
積立期間は5年以上、建てるマイホームには多少の条件がありますが、給料天引きなら貯金しやすいというメリットもあります。
それでも、頭金が足りない、貯められないという場合には、親から援助受けるという方法もあります。
親から援助してもらっても通常は贈与税がかかりますが、一定の条件を満たせば「相続時清算課税制度」を利用できます。
60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に贈与を行う場合、この制度を利用すると2,500万円までは贈与税が非課税になります。
一度申告してこの制度を利用すると、その後の贈与は合計2,500万円に達するまでは贈与税非課税、2,500万円を超えた分には一律20%の課税になります。
現金だけではなく土地、株なども対象で、贈与の回数に制限はありません。
親が亡くなった時に、その時点で持っていた資産に、それまで贈与された金額を加えた合計金額に対して、相続税を支払うことになります。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」になりますので、合計資産がこれを超えない場合は相続税も非課税となります。
贈与ではなく親から借用する場合は、贈与とみなされないようにきちんと証拠を残しておく必要があります。
贈与とみなされると贈与税がかかるので注意が必要です。
利息や返済期間を設定し、借用証書を作成しましょう。
利息0円は利息分の贈与とみなされるのでNGです。
また、返済期間は親が80歳ぐらいになるまでに完済できる期間にしておきます。
返済する際も手渡しではなく、銀行振込などにして証拠を残しましょう。
まとめ
頭金0円のリスク、おわかりいただけたでしょうか?
注文住宅を建てたいなら、まずは焦らず頭金を貯めることから始めるのがおすすめです。
貯蓄グセがつけられれば、マイホームを手にいれた後も安心ですよ!