こんにちは、きのぴーです!
今日は、万が一の時に大事な「生命保険」のお話です。
さて、住宅ローンを組んでマイホームを購入することになったら、団体信用生命保険(略して「団信」)に入る方が多いと思います。
団体信用生命保険とは、債務者が死亡または高度障害になってしまったときに下りる保険です。
債務者として、自分の身に万が一のことがあったときの保障があれば、安心して借り入れすることができます。
銀行としても、預金者から預かっているお金を守るためにも、債務者に団信に入ってもらうことは重要です。
では、新たに住宅ローンの団信に入るのであれば、今入っている生命保険は必要なくなるのでしょうか。
団信は死亡保険としての役割が大きく、生命保険の死亡保険と内容が重複します。
しかし、重複するからといって、今入っている保険を簡単に解約するのはオススメしません。
団信と生命保険は似ているようで、いくつか違いがあるからです。
やっぱり必要になったとき、告知事項によっては再加入できないことがあるので、解約するにしても慎重に判断する必要があります。
今回は、これから団信に加入予定の方必見!
それぞれの保険金を受取るまでの手続きの違いや、住宅ローンに付随できるオプションの保険内容についてお伝えします。
【監修者】元銀行マンのプロフィール
新卒から約8年間銀行で勤め、そこで住宅ローンを担当していました。
国家資格のFP2級所持。
ちなみに、家のコーディネートも大好きで、無印良品で家を統一しています!
団信と生命保険の違い 〜概要編〜
一般的に、団信とは「一般団信」を意味し、これ以外に3大〜8大疾病特約付団信があります。
一方、生命保険にも「死亡保険」や「医療保険」「介護保険」などの種類があるため、どの内容と比較するかは重要です。
ここでは、【団信=一般団信】、【生命保険=死亡保険】の内容で比較したいと思います。
さて、まず、団信も死亡保険も、被保険者が死亡または高度障害となったときに下りる保険です。
保険概要は同じですが、詳細を見ていくといくつか違いがあります。
【違いその①】保険の対象
団信は、被保険者が亡くなった時点の「ローンの残高」が対象であるのに対し、生命保険は契約時に決められた「死亡保険金額」が対象となります。
そのため、団信の保険金額は返済が進むにつれて小さくなって行きますが、生命保険の保険金額は満期まで一定となるのが特徴です。
【違いその②】保険期間
団信は住宅ローン完済までが保険期間となりますが、生命保険は契約時に決めた「定期保険」か「終身保険」かで決まります。
終身保険の方が、一生涯に渡って保障が続く代わり、保険料としては割高となります。
【違いその③】保険料の仕組み
保険料は、保険会社が決める保険料率によって決まります。
団信の保険料率は一定であるのに対して、生命保険の保険料率は、年齢に伴って段階的に増えていくため、若いうちは安くても40代を過ぎた頃には割高になっていきます。
保険会社によっては割引制度があるので、どれくらいの値引きを受けられるかを確認するようにしましょう。
【違いその④】保険料の支払い
支払い頻度として、団信は毎月住宅ローンの返済金額に含めて支払いをするのに対し、生命保険は毎月または年に1回、保険料のみとして支払います。
支払いの手段は、団信は口座からの引き落としのみとなりますが、生命保険の保険料は口座からの引き落とし、またはクレジットカードのどちらかから選ぶことができます。
【違いその⑤】生命保険料控除
団信は控除対象外のため、戻ってくるお金はありません。
これに対し、生命保険は年末に控除証明書が送られてくるので、年末調整か確定申告にて最高5万円まで所得税と住民税の控除を受けることができます。
【違いその⑥】保険料の見直し
団信は途中で保険料の見直しが行われる可能性があるのに対して、生命保険にはそれがないので予定外の出費をなくすという意味では安心です。

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団信と生命保険の違い 〜申請から受け取るまで〜
保険の対象となる事故が起きた場合は、そのまま放っておいてもお金は下りてきません。
きちんと手続きをする必要があります。
団信と生命保険の手続きで共通する部分は、被保険者が死亡した場合は相続人が、高度障害で本人による手続きが厳しい場合は、配偶者や家族または代理人が手続きを行います。
いずれにせよ、早めに保険会社へ連絡を入れることが第一です。

さて、異なる部分として、団信は事故の対応する窓口が保険会社でなく銀行なことです。
団信加入で事故が起きたときの処置
まずは、住宅ローンを組んでいる銀行に連絡を入れましょう。
必要書類を提出してから調査期間に約1ヶ月くらいかかるので、その間に返済日が来る場合は支払う必要があります。
保険金額が決定したら、そのお金によって住宅ローンは完済となりますが、その後、抵当権抹消の手続きが必要です。
登記にかかる費用は保険の対象外なので、注意が必要です。
生命保険加入で事故が起きたときの処置
一方、生命保険の死亡保険金を請求するためには、直接、保険会社に連絡を入れます。
同じく書類を提出する必要がありますが、10日前後で保険金が決定されるので、団信よりも早く手続きが進みます。
下りた保険金は、相続人の口座に直接振り込まれるため、純粋に「お金」として受け取ることができるのが特徴です。
保険金の税金について
税金について、死亡による保険の受け取りの場合、団信は相続した物件が相続税の対象になりますが、生命保険は受け取ったお金に相続税がかかります。
また、高度障害で保険金を受け取った場合、原則、団信は銀行が資金の受取人であるためかかりませんが、生命保険では一時所得として課税されるのがポイントです。
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住宅ローンにつけられるオプションの保険
住宅ローンにつけられる保険は団信だけではありません。
一般の団信に入れなかったときのための保険や、保障内容を手厚くした3大疾病〜8大疾病特約付きの団信などさまざまな種類のものがあります。
オプションであるため、必ずしも入らなければいけないものではありませんが、住宅ローンを組む方だけが使える特権です。
保険料の支払いで、金利に上乗せして支払うものは、住宅ローンの契約までに加入するか決める必要があるため、早めに検討をするようにしましょう。
1つ目は、先述の「一般団信」で、死亡または高度障害になってしまったときに下りる保険です。
原則、この保障内容がついていることが住宅ローンを契約する条件となります。
2つ目は、本人の健康状態に問題があり、一つ目の団信に加入できない場合の「ワイド団信」です。
糖尿病や高血圧症、肝機能障害といった持病がある場合は、一般団信の審査が下りないケースがほとんどです。
審査基準が緩いワイド団信を使うことで、住宅ローンを組むために必要な一般団信と同等の保険をつけられる可能性はぐっと上がります。
3つ目は、日本人の死因として多い、がん、心筋梗塞、脳卒中の病気に備える「3大疾病保障」です。
これらの疾病であることが医師によって診断され、所定の日数を超えて仕事に従事することができない場合に住宅ローンがなくなる保険です。
ワイド団信にて契約する方にはつけることができませんが、一般団信に加入できる方であれば追加することができます。
4つ目は、3大疾病に、高血圧疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎を加えた「5〜8大疾病保険」です。
銀行によって内容が異なるので、保険料に対して保険内容は充実しているか天秤にかけながら比較検討することが大切です。
5つ目は「がん保障」についてです。
がんと診断されて保険が下りる点では、3大疾病の内容と変わりませんが、医師から余命6ヶ月を言い渡されたら所定の保険金が出る「リビングニーズ特約」がつけられるのが特徴です。
6つ目は、注文住宅を建てる場合に便利な「ぽけっと団信」についてです。
注文住宅を建てる場合は、まず土地を買うために住宅ローンを借り、建物の着工金、中間金、引き渡し金というように分割してローンを組む必要があります。
本来なら全ての融資が完了してから団信がつきますが、それでは、引き渡しまでの間に万が一のことがあったときに保障がないため危険です。
このリスクをなくすために、工事着工から引き渡しまでの1年間に、債務者が交通事故や死亡または高度障害になってしまったとき、土地代金と工事未払金の最大5000万円までが対象になる保険です。
7つ目は、債務者がリストラにあったり、会社が倒産してしまったときに備える「失業保障付き保険」です。
最大6ヶ月間住宅ローンの返済額を保険にてカバーできるため、次の就職を探す間も安心です。
会社員でないと入れないものと、会社の経営者でも入れるものがあります。
まとめ
団信と生命保険が似ていると感じるのは、それぞれの保険が死亡保険としてのイメージが強いからかと思います。
確かに、一般団信と生命保険の死亡保険では、死亡や高度障害が対象となるため、保険内容が重複しています。
しかし、これらの保険には違いがあるからこそ、メリットデメリットが異なります。
団信は死亡保険と比べて、実際に負担する金額がリーズナブルです。
何千万円という残高が多い時期は、割安な保険料で保障される金額が高いのはメリットと言えます。
一方、控除などの戻りは少なく、高齢になってきたときの保証が小さいのがデメリットです。
対して、生命保険の死亡保険は、いつでも保険金額が一定なので、いつ事故が起きても変わらぬ安心感があるのがメリットです。
しかし、住宅ローンの初期の残高のように何千万円という保険金額をずっとかける場合は、保険料は高額になってしまいます。
あくまで、数百万円〜多くて1000万円くらいが現実的です。
最後に、自分に合った保険の選び方についてアドバイスするとすれば、必ずしもどちらかの保険に入っていれば安心というわけでもありません。
子供が小さい家庭では、大学を卒業するまでには何かと出費が多いので、その間は団信だけでなく、死亡保険を小さい金額でつけておくというのもよいでしょう。
また、3大疾病など特定の病気を対象にした団信をつける場合は、住宅ローンの返済中に辞めることができません。
保険は都度見直ししていきたい考えの方は、住宅ローンにはつけず、生命保険で加入する方が合っているかもしれません。
思い描くライフプランの中で、お金がかかる時期はいつなのか?その時の自分の年齢はいくつなのか?…などをよく照らし合わせ、団信や生命保険の組み合わせ方について考えることが大切です。
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