こんにちは、きのぴーです。
今日は「カビ」の話をするよ。
日本人の3人に1人が何らかのアレルギーを持っているともいわれ、年々その数は増加しています。
その大きな原因となっているのが、家の中のカビ。
カビ自体が病気を引き起こすほか、カビはダニの餌にもなるため、カビが生える家はダニもたくさんいる可能性が高いのです。
新築のマイホームにカビが生えるような事態は絶対に避けたいですね。
注文住宅を建てる前に知っておきたい、カビ対策をご紹介します。
こんなにある!カビの種類
カビは真菌という菌の一種で、現在確認されているだけでも10万以上の種類があるといわれています。
家の中にいる主なカビは3つのカテゴリーに分類されます。
①クロカビ(学名:クラドスポリウム)
家の中で最も多く見られるのはクロカビ。
湿度90%以上で増殖するため、湿気の多い浴室や洗面所、結露の発生した壁の内外、エアコンや加湿器などに発生します。
さまざまなアレルギーの原因になります。
②コウジカビ(学名:アスペルギルス)
その名の通り、お酒や味噌、醤油を作る有用な種類がいる一方で、病気の原因になる恐ろしい菌もあります。
悪性の菌は喘息やアスペルギルス症(カビ性肺炎)などを引き起こします。
古本に着く茶色の斑点はこの種類の菌が原因。
ホコリがたまった本棚などは要注意です。
③アオカビ(学名:ペニシリウム)
結露で湿った押し入れや窓枠、壁内などに発生するカビです。
チーズに生えているような無害な種類もありますが、感染症を引き起こす毒性の強いものもあります。
カビ発生のメカニズム
カビの対策をするために、カビ発生のメカニズムを知っておきましょう。
どんな家でも、室内の空気中にはいろいろな種類のカビの胞子が浮遊しています。
この胞子が壁などに付着し、カビ発生の条件がそろえばカビが発生します。
【カビの発生の条件】
温度
5~35℃であればカビが発生する可能性があります。
特に20~32℃はカビが発生しやすい温度です。
エアコンの普及によって、今の住宅は一年中カビが発生しやすい環境になっています。
酸素
栄養分
木などの自然素材に限らず、ビニールクロスや塗料などもカビの餌になります。
建材の表面に埃や汚れがあると、さらにカビの発生が増進されます。
ホコリ1gからは、10万から100万個のカビが検出されます。
水分
- 好湿性:湿度90%以上 クロカビ、ススカビなど
- 耐乾性:湿度80%以上 アオカビ、コウジカビなど
- 好乾性:湿度65%以上 コウジカビの一部など
湿度50%以下ではカビは増殖できません。
しかし、室内の空気が乾燥していても、カビの胞子が付着したものの表面に水分があればカビは発生します。
時間
カビの胞子は、付着したものの内部に菌糸を伸ばして栄養や水分を吸収し、新たな胞子を作り空気中に拡散します。
黒や青などのカビの色が目に見えたら、すでに新たな胞子ができている状態です。
菌糸を伸ばす前に胞子を除去すれば、新たなカビは発生しません。
カビの生えにくい家を造るには?
カビの発生条件のうち、温度や酸素は対策が難しい条件。
栄養分、水分、時間はある程度対策が可能です。
注文住宅を新築する時にどんなことに注意すれば、カビの生えにくい家になるのでしょう。
結露を防ぐ
新築時のカビ対策でもっとも重要なのが、結露を防ぐことです。
空気は気温が高いほど、たくさんの水蒸気を含むことができます。
水蒸気を含んだ暖かい空気が、冷たい面に当たって冷やされ、含みきれなくなった水蒸気が水滴になって付くのが結露です。
結露には「表面結露」と「壁内結露」の2種類があります。
表面結露
最もよく目にする表面結露は、冬に窓ガラスや窓枠に付く水滴でしょう。
外気によって冷やされた窓に、室内の暖かな湿った空気が触れると結露がおきます。
すぐに拭き取ればカビは防げますが、毎日家の窓を何箇所も拭くのは大変です。
断熱性の高い窓を選べば外気の影響を受けにくくなるので、結露はかなり防げます。
ペアガラスやトリプルガラスの樹脂窓など、高性能なサッシを選びましょう。
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また、断熱性の低い家では、壁や床、天井も外気によって冷やされ、表面結露がおきることがあります。
断熱性の高い家なら、これらの表面結露は防げます。
家の断熱性能を表す指標であるUA値(外皮平均熱貫流率)は値が小さいほど断熱性が高くなります。
温暖な地域であれば、UA=0.5以下であることが高断熱住宅のひとつの目安になります。
壁内結露
表面結露より怖いのは、目には見えない壁内結露です。
暖房された室内の湿った暖かい空気が壁の中に侵入し、壁内で冷やされると結露が発生します。
また、冬に比べて頻度は低いものの、夏にも壁内結露がおこる可能性があります。
屋外の湿った熱い空気が、エアコンに冷やされた壁に触れて壁内で結露をおこします。
壁の中で結露が起きると、乾燥に時間がかかり、カビが増殖しやすくなります。
カビや結露の水分によって、家の骨組みが腐ってしまうこともあります。
壁内のカビを防ぐには、2つの対策が必要です。
ひとつは室内の湿った空気が壁内に侵入しないようにすること。
水蒸気の分子はとても小さく、多くの壁材は通過してしまいます。
またコンセントや換気扇など、壁材に開ける穴のまわりから入り込むこともあります。
これを防ぐには、室内の壁の仕上げ材と断熱材の間に防湿気密シートをすき間なく施工します。
防湿気密シートを確実に施工するには経験やノウハウが必要とされます。
気密工事の経験が豊富な工務店やハウスメーカーを選びましょう。
1棟ごとに家の気密性を表すC値(すき間相当面積)の測定をおこなっているかが、ひとつの目安になるでしょう。
もうひとつは壁内の湿度が上がらないように、水分がなるべく早く乾く構造にすることです。
防湿気密シートを施工して室内側からの湿気が入らなくなっても、外気の湿気の流入や、木の柱などからも水分が発散されます。
一般的には外壁の仕上げ材と、断熱材の間に通気層を設けて空気を通します。
また、グラスウールなどの繊維系の断熱材は吸水性があります。
濡れると断熱性が落ちるため、ますます結露しやすくなるという悪循環におちいります。
吸水性のない硬質ウレタンのような断熱材を使用することもひとつの方法です。
家を建てる地域や、立地条件などによっても最適な仕様は異なります。
工務店やハウスメーカーに、壁内の結露対策をどのようにおこなっているのか、壁の構造や施工方法を確認しましょう。
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家中をくまなく換気
家の中でカビが発生しやすい場所は、「水蒸気の発生する水まわり」と、「風通しが悪くジメジメしやすい押し入れや収納」などです。
家中の空気をきちんと換気して風通しの悪い場所を作らなければ、カビが生えにくくなります。
室内の空気を新鮮な空気に入れ替えることで、空気に含まれるカビの胞子の数も抑えられ、過剰な湿度も排出できるので、結露の対策にもなります。
住宅のリビングや寝室などの居室は、機械による24時間換気が義務付けられていますが、法律で定められた換気量を満たしているだけでは安心できません。
納戸や玄関なども含めて、きちんと家中の空気が換気できる設計になっているかが重要です。
カビを生やさない暮らし方
カビを生やさないためには、新居に入居した後の暮らし方も重要です。
「カビには根がある」というように、一度カビを生やしてしまうと完全に除去するのは大変。
日頃から予防につとめましょう。
こまめに掃除をしてハウスダストをためない。
特にエアコンにホコリがたまっていると空気中にカビの胞子をまき散らしていることになる。
過剰な水蒸気を発生させず、きちんと換気や除湿をおこない、室内の湿度を60%以下にコントロールする。
湿度が高いと結露しやすい上にカビが繁殖しやすく、ダブルで危険。
カビの発生しやすい浴室などの水まわりは、使用後は水分を拭き取るなど、なるべく早く乾燥させる。
万が一表面結露が起きたら、結露水はすぐに拭き取る。
換気システムをつけても、止めてしまったら意味がない。24時間きちんと運転させる。
まとめ
注文住宅のカビ対策、いかがでしたか?
高断熱化、高性能の窓、高気密化による壁内結露の防止、換気システム…いずれも導入すればコストアップにはなりますが、家族の健康を考えれば安いものです。
せっかく建てたマイホームが家族の健康を害することにならないように、しっかり対策しましょう。