こんにちは!きのぴーです。
自分の家を手に入れることはとても喜ばしいことです。
しかし、同時に大きな借金を背負うことになります。
途中で住宅ローンの返済が厳しく、残念ながらギブアップされる方もいます…。
今回は、あまり考えたくないですが、「住宅ローンを返済ができなくなったらどうなるか」について書いていきたいと思います。
ぜひ、これからローンを組む予定の方、すでに組んでいる方にも読んでもらいたいです。
住宅ローンが返済できなくなっても銀行が損をしない仕組み
まず、住宅ローンの融資の仕組みについて整理します。
住宅ローンは有担保ローンに分類され、お金を借りる側(債務者)は土地と建物を担保に入れる代わりにお金を借りることができます。
つまり、担保があるからこそ、銀行から何千万円という高額のお金を借りることができるのです。
一方、お金を貸した側(債権者)は万が一債務者が返済できなくなってしまったとき、担保に取っている土地と建物を競売にかけてお金にできる権利を持ちます。
この権利を抵当権と言い、抵当権を持っているのは銀行ではなく、保証会社の場合が多いです。
保証会社は銀行と債務者の間に立っており、銀行は万が一貸したお金が回収できなかったときは、保証会社に保証してもらえる仕組みになっています。
この制度は、融資したお金の持ち主=預金者を守るためでもあります。
住宅ローンが払えなくなったらどうなるのか
さて、実際に住宅ローンの返済が滞ると具体的にどうなるのでしょうか。
数日の遅れであれば、債務者に督促状が届いたり、銀行または保証会社から連絡が入ります。
いつ頃入金が可能か聞き取りが行われ、延滞利息も含めて支払う必要があります。
その通りに支払いができればよいですが、それでも返済できずに数ヶ月が経過してしまうと、保証会社は債務者に代わって、滞っている分も含めて銀行へローン全額を支払う動きを始めます。これを代位弁済と言います。
その後、保証会社は抵当権を行使し、担保となっている物件を競売にかけお金を回収していきます。
しかし、競売にかけられた物件は売れたとしても安値になってしまう場合がほとんどで、保証会社は足りない分を債務者に請求をします。
このように、購入して自分のものになった土地と建物は、返済が終わるまで真に自分のものにはなりません。
ローンの返済は自己で責任を持って行う必要があり、もし返済ができなくなれば、せっかく購入した家を失い、借金だけが残るという最悪な状態になりかねないのです。
住宅ローンで返済が困難になってしまう原因について
どれくらいの人が住宅ローン破綻しているのでしょうか。
ある統計によれば100人に4,5人が住宅ローンの返済が困難になっているようです。
返済が困難になってしまう原因として多いのが、リストラや転職による収入の減少です。
できる限り節約をして家計を縮小したり、なんとか努力によってしのげればよいですが、中にはその分を他から借金してしまう場合も少なくありません。
借金の返済のためにした借金の返済は簡単にできるものではありません。
また、病気など身体の問題で働くことができなくなってしまうことが原因になる場合もあります。
ローンを組む際に入る団体信用生命保険は、死亡や高度障害が条件となるので、そこまでの状態に至らないものについては保証を受けられません。
医療保険など入っていない場合、自己資金を使い果たしてしまい、税金の支払いや生活までが厳しくなってしまいかねません。
最近では夫婦共稼ぎの家族が増え、忙しさのあまり支出が増えてしまうなど、収支のバランスが取れなくなってしまうケースもあります。
いずれにせよ、収入や健康面に変化があった場合は危険信号と捉え、早めに対策を練っていくことが重要です。
住宅ローンで破綻しないための4つのこと
自己資金を多く用意する
安全に住宅ローンを組む上で欠かせないのが、希望する物件の価格に対して、どれくらいの割合でローンを組むかです。
例えば、1000万円の物件に対して自己資金はゼロで1000万円のローンを組んだ場合、100%融資となります。
物件は年々減価償却していきます。万が一売却が必要になったとき、売れた金額が残りのローンをカバーできるよう、ローンの割合を少なくする方が安全と言えます。
銀行も物件の80%までの融資の場合、金利の優遇を受けられるよう誘導していることが多いです。
無理のない月々の返済額設定
加えて、月々の返済金額について、無理のない金額かどうかをできるだけたくさん検証してみることが大切です。
30代の働き盛りのときに組んだローンであれば、今の収入はいつまで続く見込みがあるのか、転職する予定があったり、退職後までローンが残った場合どのようにするのか、しっかりイメージして対策案を出しておくことが大切です。
金利が上がった場合、どれくらい返済額に影響が出るのか、ネット上でも無料の計算ソフトがあるので自分で試算してみるのもよいでしょう。
途中、貯金ができて繰上返済をする際は、繰り上げる分期間を短くするか、返済額を下げるかが選択できますが、やみくもに期間を短くせずに返済額を下げて余裕を作ることもポイントです。
オプションの保険を検討してみる
保険については、ローンにセットできるオプションの保険を検討してみるのもよいでしょう。
特定の疾病になってしまった場合にローンが完済される疾病保険や、働けなくなったときに降りる所得保障保険などがあります。
働けなくなって月々の支払いができなくなり、破綻…。ということにならないように、保険で備えておくと良いリスクヘッジになります。
少しでも「ヤバい」と思ったら金融機関に相談
ほんの少しでも破綻の予感を感じたら、すぐに金融機関に相談しましょう。
一時的に収入が減少しているなら、一時的に月々の返済額を減額してくれたり、ボーナスが減少したなら、一時的にボーナス返済分を減額してくれたりと、対応してもらえます。
もちろん「総返済額を減らしてくれる」なんてことはないのですが、柔軟に支払いスケジュールを調整してくれるケースが多いです。
不動産屋が住宅ローンについて面倒を見てくれることも多いと思いますが、自分でもしっかりローンを組む前に調べてみることをおすすめします。
住宅ローンが払えなくなってしまったときの法的措置
それでも、人生は予定通りいかないことがあります。
もし不測の事態に陥ってしまった場合は早めに金融機関に相談するようにしましょう。
「金融円滑化法」という法律があり、銀行は支払いが厳しい状態になってしまったお客様に対して、返済方法の変更によって乗り越えていけるよう相談を受ける義務が課されています。
審査がありますが、対応例としては、一定期間の返済額の減額や利息だけの支払いに変更したり、期間を延長したり、ボーナス払いを取りやめることができます。
例えば、「リストラにあってしまい、新しい仕事を見つけたものの収入が減ってしまい、返済が厳しくなってしまったケースで、一定期間の返済額の減額によって持ち直すことができた」など、銀行は返済が苦しい人に対して色々な対応をおこなっています。
審査をうまく進めるためには、今の収入に対してどれだけの支出があるのか、項目ごとにきちんと整理できていることです。
その上で毎月いくらまでの返済額なら生活が可能なのかを伝えていくことがコツといえます。
これらの変更で覚えておかなければならないのが、一定期間の返済額の減額や期間延長によって当初より返済のスピードが遅くなることで、最終的な総支払額が増えてしまうことです。
それでも一時的なピンチをしのぐことで自宅を守っていける効果があります。
銀行ではここまでの対応となってしまいますが、それでもなお返済ができない場合、条件によっては「個人民事再生法の住宅ローン特則」というものがあります。
弁護士に相談の上、自宅のように高額な財産を維持しながら他の借金を整理できたり、借金が住宅ローンのみの場合でもさらに期間延長するなどの救済措置があります。
いずれにせよ、早めに専門家に相談することが大切です。
まとめ
家賃と同じ金額で家が手に入るなら住宅ローンを組んだ方がおトク!と思う方もいるかもしれませんが、それはきちんと滞りなく返済できればの話です。
返済が終わらない限り真に自分の家にはならないのだと思うと不安になってしまいますが、安全に住宅ローンを組むことで、このようなリスクや不安は減らすことができると思います。
そのためには、いくら借りられるかではなく、いくらなら返済が可能なのかをよく考え、どのように返済していくべきかライフイベントを交えつつ計画をしてみることです。
そして、もし返済が厳しいとなってしまったら、余裕を持って早めに金融機関に相談してほしいと思います。
住宅ローンは借金ではありますが、他の教育ローンや車のローンと比べると金利が低く、「住宅ローン控除」など条件に当てはまれば戻ってくるお金もあります。
うまく活用すればメリットもたくさんあるのです。マイホームを持つことはとても幸せなことです。高いお買い物だからこそ、じっくり時間をかけて検討して欲しいと思います。