こんにちは!きのぴーです。
注文住宅を検討している方のなかには、「シックハウス症候群への対策に注意を払った家づくりをしたい」と考えている方も多いのではないでしょうか?
しかし、そんな希望とは裏腹に、現在の日本では効果的なシックハウス症候群対策はないと言われています。
一般的なハウスメーカーや工務店では、法律を遵守した家づくりをアピールしていますが、アセトアルデヒド以外の化学物質が野放しになっているのが現状です。
この記事では、効果的な対策はないとされているシックハウス症候群の症状や国の対策の変遷、注文住宅の施工前にチェックしておくべき項目を分かりやすく解説します。
そもそもシックハウス症候群ってどんなもの?
一昔前までは罹患する方がほとんどいなかったシックハウス症候群ですが、1990年〜2000年の10年間で国民生活センターへの相談が1.5倍に急増しています。
しかし、シックハウス症候群の具体的な症状と言われても、明確な答えが思い浮かばないという方が多いのではないでしょうか?
シックハウス症候群の症状は、厚生労働省のホームページで次のように解説されています。
近年、住宅の高気密化などが進むに従って、建材等から発生する化学物質などによる室内空気汚染等と、それによる健康影響が指摘され、「シックハウス症候群」と呼ばれています。その症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によってさまざまです。
いまいち良く分からない、シックハウス症候群以外の原因でも起こるのではないかと感じられる点が、本当のシックハウス症候群に警戒すべきポイントなのです。
国のシックハウス症候群対策の変遷
「シックハウス症候群への対処はハウスメーカーや工務店がしている」と認識している方も多いのではないでしょうか?
もちろん、ハウスメーカーや工務店は施主が安心して暮らせる基準をクリアする住まいを提供しています。
ただし、あくまでも建築基準法を遵守した住まいなのであって、すべてのシックハウス症候群の原因を取り除いているわけではありません。
現在の建築基準法は2003年に改正され、シックハウスの原因はホルムアルデヒドであるという結論からホルマリンの使用量を制限し、毒性が高いとされていたクロルピリホスの使用を禁止したため、この基準をクリアしていない住まいは建てることができません。
しかし、2003年以降も国民生活センターへの、シックハウス症候群に関する相談は増え続けています。
このような国のシックハウス症候群対策の変遷から、ホルムアルデヒドの使用制限やクロルピリホスの使用禁止では、十分な対策となっていないことが分かります。
また、建築基準法を守りさえすれば住宅を建てることができるため、どのような物質がシックハウス症候群の原因になっているかも究明されていないのが現状です。
症状が現れてから?シックハウス症候群の本当の怖いところ
厚生労働省ホームページでは、シックハウス症候群の症状を目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥といった表現で解説していますが、症状が現れてからがシックハウス症候群の本当の怖いところです。
注文住宅を検討している方の多くが気にするポイントではあるものの、実際に罹患してしまってからの対策を考慮できている方はほとんどいないのが現状です。
シックハウス症候群と断定する基準がない
先ほども解説したように、シックハウス症候群は目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥などが代表的な症状とされています。
しかし、インフルエンザなどの病気のように、「シックハウスが症状の原因です」と断定することはなかなかできません。
また、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥などの症状を感じたとしても、働けないほど重い症状になることは少なく、ほとんどの方がなんらかの対策でやり過ごしてしまうのが現状です。
結果、本当はシックハウスが生活に支障をきたすような症状の原因だったとしても、自覚をもちながら数十年という時間を過ごしてしまうのです。
住まいに原因があっても法的な根拠がない
施主が「シックハウス症候群なのでは?」と感じても、法的な根拠のある対策が講じられていない点がシックハウス症候群の2つ目の怖いポイントです。
鼻水やのどの乾燥といった軽い症状で済むことが多いシックハウス症候群ですが、働けなくなるほどの症状を訴えたとしても、ハウスメーカーや工務店は国の法律を守っているため過失になることはないのです。
また、症状が軽いうちに直接ハウスメーカーや工務店に対策を依頼したとしても、自覚している症状との因果関係が証明されていないため、具体的なアクションを起こしてくれることは期待できません。
シックハウス症候群の被害を軽減するためのチェックポイント
「シックハウス症候群への対策を万全にしておきたい」と願う施主がいる一方で、現在の法律ではその原因となる化学物質を使用しないことは不可能です。
しかし、その被害を軽減するために、施主が行えることはいくつかあります。
住みはじめてから対策を依頼しても、ハウスメーカーや工務店が具体的なアクションを起こしてくれることが期待できない以上は、施工前に自分の知識でシックハウス症候群の被害を軽減するほかありません。
使用する建材の素材を把握する
施工前に施主がチェックしておくべき項目の1つ目が、使用する建材の素材を把握することです。
実は2003年の建築基準法の改定で使用が制限されたホルムアルデヒドや、使用が禁止されたクロルピリホスなどの化学物質を取り除いても、多くの方がシックハウス症候群の症状に悩まされているのは建材が原因です。
現在の住まいの多くは集合材と呼ばれる、薄い板を接着剤で貼り合わせた素材を利用しているため、建材からすでにシックハウス症候群の原因物質が揮発していると言われています。
施工費こそ高くなってしまいますが、使用する建材を把握し、できれば天然素材の建材への切り替えを行いましょう。
建物の固定にビスを使用すること
建物の強度に関わる部分ではありますが、建材と建材のつなぎ目に使用される接着剤にも、できるだけ省略する意識をもつことが大切です。
また、シックハウス症候群への対策にできるだけこだわりたいという方は、木材と木材を組み合わせる工法を大切にしているハウスメーカーや工務店に依頼することも1つの手段です。
最近では気密性や断熱性などの住宅性能の高さをアピールする企業が注目を集めていますが、日本で昔から使われている工法を採用することが、シックハウス症候群にもっとも効果的な対策方法と言えそうです。
まとめ
1990年〜2000年の間で急増したシックハウス症候群の罹患者ですが、その背景には住宅業界の変化が関係しています。
現在の住宅業界では、気密性や断熱性といった住まいの基本性能の高さをアピールし、温かい住まい、エコな住まいが価値のある建物という定義付けを行っています。
しかし、その一方で、建築に使われる化学物質が原因とされている、シックハウス症候群の罹患者が増えていることも事実です。
これから注文住宅の購入を検討される方は、このような時代背景を理解し、ホルムアルデヒドの使用制限とクロルピリホスの使用禁止が盛り込まれている現在の建築基準法では対策が不十分であることを把握しておくことをおすすめします。
そして、依頼するハウスメーカーや工務店を決める前に、使用している建材やどのような工法を利用している企業なのかをリサーチすることが、もっとも効率的なシックハウス症候群対策であることを知っておきましょう。