こんにちは!きのぴーです。
みなさんは昔の家よりも今の新築木造住宅のほうが、シロアリ対策においては気をつける必要があると言われていることをご存知ですか?
強度や気密性が高まっているため、ついついシロアリ対策についても考えられていると思い込んでしまいがちですが、実はそうではないのです。
この記事では、新築木造住宅の自由な間取りの家を建てられるというメリットを活かすために、次の項目で講じておくべきシロアリ対策を解説します。
この記事の見どころ
- 新築の木造住宅にはシロアリ対策が必要な理由とは
- シロアリから新築木造住宅を守るために知っておくべき3つの対策
- シロアリ対策によくある2つの誤解
一生に一度の高価な買い物の中でも、新築木造住宅のシロアリ対策は非常重要なポイントと言えます。
新築の木造住宅にはシロアリ対策が必要な理由とは
日本の新築木造住宅の耐震等級や断熱性能といった目に見える数値は年々高まっており、一定の基準を満たすハウスメーカーや工務店、設計事務所を選択できれば、構造上の問題が起こることはほぼないと言って良いでしょう。
しかし、時代が進むごとに被害が増加していると言われているのが、シロアリ被害です。
実はシロアリ被害については、昔の日本家屋のほうが被害が少なく、最近の新築木造住宅のほうが問題になるケースが多いとも言われています。
その理由は湿気にあり、耐震等級や断熱性能を高めるための構造の複雑化と、土地が狭くなったことに深い関わりがあります。
理想の住まいの寿命は耐震等級だけでなく、シロアリ対策にも考慮する必要があるという理解が必要です。
シロアリから新築木造住宅を守るために知っておくべき3つの対策
新築の木造住宅を建てるさいに、どのような対策をすべきなのかを具体的に紹介します。
最近の木造住宅では、次の3つの対策を講じておく必要があると言われています。
3つの対策
- 【対策1】対策が必要なシロアリの特性を把握する
- 【対策2】シロアリが発生する条件を取り除く
- 【対策3】シロアリが発生しても対処できる間取りにする
特に3つ目の対策条件を満たしていない新築木造住宅では、シロアリが発生した瞬間に手の施しようがなくなることがあるため、要注意です。
【対策1】対策が必要なシロアリの特性を把握する
木造住宅の建築のさいに、しっかりとした対策を検討している方が対策しておくべきシロアリがヤマトシロアリとイエシロアリです。
ヤマトシロアリには移動しながら餌場を探すという特徴のある分散型のシロアリであり、特定の場所に居続ける必要がなく、環境が悪くなれば次の生息を探し、場所を変え続けます。
また、イエシロアリは定住する場所にこだわるという特徴のある定住型のシロアリであり、環境が良い場所を絶対に放棄しません。
このようにイエシロアリとヤマトシロアリでは性質が違い、講じるべき対策も異なるのです。
実はヤマトシロアリとイエシロアリは昔から日本にいた種類のシロアリであり、昔の日本家屋ではシロアリとうまく付き合えていたと言われていますが、構造が複雑になりがちな最近の木造住宅はシロアリを招きこんでしまいがちとも言われています。
【対策2】シロアリが発生する条件を取り除く
シロアリが定住してしまう環境は、栄養分である木材と快適な生活を送るための温度と酸素、湿気が揃っています。
しかし、特に日本の70〜80%もの土地の生息するヤマトシロアリへの対策は、構造に必ず木材を使用する、温度の調整はできない、酸素を省くことはできないという理由から、湿気を除去するほかありません。
そして、次の6つの条件を満たす木造住宅がシロアリが発生する条件を取り除いた住まいです。
- 基礎:土壌面を覆い尽くすベタ基礎はシロアリは入り込みにくいとされ、立ち上げを地面を高くすることで雨水を流れ込まない構造にする。
- 通気口:基礎パッキンを必ず用い、風の流れを遮らない構造にする。
- 調湿:炭や調湿材を床下に施工し、留まってしまった湿気を吸い込む構造にする。
- バリア:玄武岩やステンレスメッシュを敷き詰めた上に、コンクリートを打設する。
- 壁:発泡ポリスチレンを断熱材として用いる場合には、必ず通気層を設ける施行にする。
- 木材:檜やヒバなどの食害されにくい木材を選択し、できるだけ高樹齢のもので施工する。
機能性が高まっている昨今の新築木造住宅ほど、風通しと構造の強度や断熱性のバランスに注意することが重要です。
基本的にそのエリアの特性を把握しているハウスメーカーや工務店、設計事務所であれば、シロアリ対策にも対応した間取りを提案してくれますが、一切説明がない場合には事前に質問する必要があります。
【対策3】シロアリが発生しても対処できる間取りにする
シロアリへの対策はいくつかありますが、もっとも有効なのがシロアリが発生しても対処できる間取りにすることです。
特に構造が複雑になりがちな昨今の木造の新築住宅には、必ず点検口を設けましょう。
先ほど紹介したように、シロアリは栄養分である木材と快適な生活を送るための温度と酸素、湿気という条件が揃っている環境を好みます。
そのため、床下にゴミが堆積してしまっていないか、水道の配管が結露していないかといった年に1、2回のメンテンスは必須と認識しておきましょう。
シロアリ対策によくある2つの誤解
新築の木造住宅を計画をはじめたばかりの方は、以下のようなシロアリ対策によくある2つの誤解についても把握しておきましょう。
2つの誤解
- 【誤解1】少しずつ侵食されていく
- 【誤解2】薬剤処理をしているから大丈夫
継続的なメンテナンスが新築の木造住宅の1番の対策となるため、部分的な処置だけで安心してしまわないよう注意しましょう。
【誤解1】少しずつ侵食されていく
シロアリが小さい動物であることもあり、仮に新築の住まいに発生したとしても被害が現れるのはしばらく先というイメージを抱きがちですが、イエシロアリが繁殖してしまった場合にはおよそ1年ほどで倒壊の危険があるほどの被害が現れるとされています。
日本の新築の木造住宅でしっかりとした対策が必要になるシロアリはヤマトシロアリとイエシロアリの2種類ですが、もっとも大きな被害をもたらすとされるイエシロアリは、100万匹以上の巣を作り、30年ほどの寿命のある住まいを1年で倒壊の危機に追い込んでしまうわけです。
新築の木造住宅に必須である年1、2回のメンテナンスを数年間行わなった場合には、そのリスクが非常に大きくなるものと考える必要があります。
【誤解2】薬剤処理をしているから大丈夫
薬剤処理が施されている建材の効果についても正しい理解が必要です。
最近の新築の木造住宅では、ネオニコチノイド系の薬剤がシロアリ対策として用いられています。
ただし、その効果はおおよそ5年ほどとされており、その後はメンテナンスを繰り返す必要があります。
また、先ほど解説したような点検口を設けるといった構造でない木造住宅の場合には、薬剤処理を行えない箇所が出てくることもあるため、5年後、10年後のメンテンスを見越した間取りが1番の対策なのです。
まとめ
一般的にシロアリ被害に合いやすいとされている新築の木造住宅も、正しい対処方法を知っていれば、30年ほどの期間を安心して過ごすことができます。
そして、新築の木造住宅を検討している方は、必ず耐震性や断熱性などの機能性と通気性とのバランスを配慮するようにしましょう。
特に薬剤処理が施されているから大丈夫という誤解は、せっかく建てた住まいを一瞬で倒壊の危機に追い込むことになりかねません。
年に1、2回ほどのメンテナンスを行える構造、通気性の高い構造といった条件をクリアする、できるだけシンプルな住まいづくりを行うことが1番のシロアリ対策です。